ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月13日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。埼玉県議会に対して中国大使館から圧力があったというニュースについて解説した。
埼玉県議会への中国大使館からの圧力
埼玉県議会の鈴木正人議員の7月8日のツイッターによると、「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」可決の件で、中国大使館から埼玉県議会事務局に連絡があり、「意見書は誰が作成したのか」「賛成討論した鈴木正人議員は何期か」など圧力とも取れる問い合わせがあったということである。
飯田)7月2日にこの意見書が、公明党を除く賛成多数で埼玉県議会において可決されました。これは超党派で提出されていたものです。
奥山)以前から地方政治レベルでは、香港の自由やウイグルなどの人権問題に関して、決議などを出しているようです。彼らにそれほど力があるわけではないのですが、一応スタンスとして、このように「抗議を求める意見書」などの形で出していたということですが、日本の大手メディアでは、ほとんど取り上げられません。SNSで発信された「こういう意見書を出しました」ということに対して、あからさまなパターンとしては、中国大使館の公式アカウントから「何をやっているのだ」という感じで出て来ることがあります。
2019年にも神戸市議会議員へ中国駐日本国大使館から圧力が
奥山)2019年9月8日に、神戸市の市議会議員の自民党の方が、「ウイグル人の安定と平和を返せ」ということをツイッターで書いたら、中華人民共和国駐日本国大使館から「いまの発言は個人を代表して出したものですか、それとも神戸市議会を代表して出したものですか」という、圧力を掛けるような問い合わせがありました。それ以降はないのですけれど、ツイッターのなかでは、地方議員の方々が声を上げて、「実はこうだったのです」、「こういう圧力が来ているのです」などと紹介しています。これは内政干渉ではないかと私は思うのですけれど、誰かがこういう実態について、まとめて書かなければいけないのかなと思います。
飯田)そうですね。
奥山)おそらくツイッターだからこそ、SNSだからこそ出て来た意見であって、その前からも、もしかしたらやっていたのではないかと思うのです。圧力に怯んでしまって、「意見書を出しません」という人がいたのではないかと疑われても仕方ないのではないかなという話ですが、「疑われる」ということは由々しき問題であると思います。
飯田)鈴木正人議員のツイッターに対して、他の市議会や議員さんが「うちにもあった」ということを言っています。桜井たかし千葉市議会議員は「中国大使館から恫喝がありました」と。「鎌倉市議会でも同じようなことがありましたが、議会事務局に回答させませんでした」という、中沢克之さんの書き込みもあります。議会の自主権に基づいた決議だからということです。
世界規模で同じような圧力を掛けている中国共産党~SNSで可視化されることは重要
奥山)この手の話を日本は、「外国にうるさく言われたけれど、表沙汰にしない」と隠しがちなのです。私が翻訳した『目に見えぬ侵略』という本などにも、この手の地方議会に対して圧力をかけるという話があります。どうやら中国共産党は世界規模でやっているようです。
飯田)『目に見えぬ侵略』という本は、特にオーストラリアを中心にしたものですよね。オーストラリアでも同じような例があったということですか?
奥山)あったということですね。中国はあまりバリエーションを変えずに、全世界共通のやり方でやっています。公式には出て来ないのですけれど、日本でもやっているということが、SNSで可視化されることはとても重要だと思います。もっと暴いて行くべきでしょう。地方議員に声を上げていただきたいですね。
情報を集めて圧力の実態を公表するべき
飯田)地方議会でこうして決議しているということも大きいですね。国会では決議できずに結局終わってしまいましたから。
奥山)地方議会に頑張って欲しいと願うところなのですけれど、誰かが情報を集めて、実態を公式に出すということが必要です。
飯田)言論の自由があるということは、それができるということです。それによってどんな圧力が掛かっていたのかわかると。
奥山)実態を暴くというのは、民主主義の大事なところではないでしょうか。
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