ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。自民党総裁選、衆議院解散・総選挙へ向けた水面下の動きについて説明した。
総裁選、解散総選挙のスケジュール
菅総理大臣は7月17日、テレビ番組に出演し、9月末の任期満了に伴う自民党総裁選について、「総裁として出馬するというのは、時期が来れば当然のことだろう」と、再選を目指して立候補する意向を表明した。
飯田)9月末だろうと言われていますので、早い表明ではないかということも言われていますが。
須田)今回、総裁選が9月末、総裁任期が切れるのが9月末、そして衆議院議員の任期が10月21日まで。総裁選をやってから総選挙なのか、総選挙が先に来るのか。場合によっては、総裁選を先送りするということもあるのか。その辺りのスケジュールがまだ見えていません。
飯田)どのスケジュールになるのか。
須田)東京都議会議員選挙は自民党の大惨敗でした。民主党へ政権が移った年の東京都議会議員選挙の獲得議席数よりも、大きく下回るような議席数でしたから、大惨敗だったことは間違いない。本来であれば、自・公で過半数を獲って弾みを付けるところだったのですが、思惑が外れた。
浮上して来た任期満了の「10月21日解散」説
須田)ここが解散総選挙戦略に微妙な影響、影を落としつつあります。当初は10月、パラリンピックが終わるのが9月5日ですから、9月6日くらいに臨時国会が始まって、補正予算案を審議、成立させ、その余勢を駆って解散に打って出る。つまり10月に投開票日が設定されるという流れだったのですが、今回の東京都議会議員選挙を受けて、戦略がどうも変更されそうな雲行きになっていて、いま驚くようなプランが浮上しているのです。一体何かと言うと、任期満了が10月21日ですが、この日に解散ということです。
飯田)なるほど。
須田)これは奇襲奇策なのですけれども、憲法違反にはギリギリならない。本来やるべきことではないのだけれども、勝つためには何でもありということです。10月21日解散で、そうすると当然、投開票日は11月にずれ込む状況になるわけです。それもできるだけ期間を先送りして、ワクチン接種率も上がって来るでしょうし、景気の回復、景気対策も打てるという時間的猶予を得ようというなかでの、10月21日解散が浮上して来ているのです。
「二階VS安倍・麻生」という党内抗争~総裁選人事よりも幹事長人事
須田)前提として、当然、前に総裁選があるわけですから、そこは党内抗争のなかで、おそらく「二階VS安倍・麻生」という党内抗争が行われて、むしろ総裁選人事よりも幹事長人事です。
飯田)幹事長人事。
須田)要するに総裁を誰にするかよりも、党三役のなかの幹事長。ここのせめぎ合いが起こるのではないかと思います。
飯田)二階さんがそのまま続投なのか、別の人に変えるのか。
二階氏が幹事長を続投するのか、降りることになるのか
須田)二階さんが続投なのか、それを引き摺り下ろすのか。本人はやめるつもりがまったくありませんから。
飯田)いままでも、取り沙汰されたことはありましたよね。岸田さんが幹事長になるのではないかということもありました。そのときは、二階さんはいち早く「安倍支持」ということで平定しました。その辺りの手練手管がすごいですよね。
須田)その辺りの手練手管が勝るのか、数を笠に着てそこを仕切って行くのか、というところのぶつかり合い。総裁が誰になるかよりも、幹事長の人事に注目してもらいたい。守り切れるかどうかと。それに対して、いろいろ動きが起こっています。山口では林芳正さんが。
飯田)山口3区に立候補を表明した。
須田)河村建夫さんという二階派の重鎮を追い落とそうと。そしてそのまま選挙になれば、おそらく林さんが当選します。河村さんは70歳を超えていますから、比例での救済ができないのですよ。
飯田)なるほど。比例重複ができない。比例名簿にも載せられない。
須田)そこは特例扱いという二階さんの豪腕が唸るのかどうかというところもありますし、加えて二階さんの足下である自分の選挙区に、場合によっては世耕さんが。
飯田)世耕弘成さんは、もともと参院の和歌山選挙区であると。
須田)ここも鞍替えです。いろいろな党内抗争が勃発している。これを全体で見たときに、自民党全体のエネルギーになって行くのか、それとも自滅する方向に働くのか。党内でこういった議論やぶつかりが生じると、それがエネルギーになって、必ずしもマイナスではないことは確かだと思いますけれども。
清和会トップに安倍氏か~安倍参戦という可能性も
飯田)群馬や新潟などは、二階派とそれ以外、安倍さんのいる清和会などとぶつかることが多いようですが。
須田)清和会のトップの細田さんは、森さんが全面的にプッシュしていますから、おそらく衆院議長になるでしょう。そうすると、派閥会長のポストが空きます。
飯田)そうですよね。慣例上、党籍も離脱しなくてはいけないということですものね。
須田)そこで満を持して、安倍さんが清和会トップに戻って来るのではないかと思います。
飯田)安倍派清和会になると。
須田)ええ。それで何が起こるかと言うと、場合によっては安倍参戦という。
飯田)やはり、そうなって来ますか。
須田)党内からそういう声が湧き上がって来れば。
「小池カード」を握りたい二階氏
飯田)「いまはやめたばかりですから」と先日のインタビューでは言っていました。そして、ここで小池都知事が国政に対してどうなのか。
須田)ポスト菅をめぐってのせめぎ合いがそこに出て来ているのです。二階さんは、ポスト菅としてのカードがない。そこで小池カードを握りたいと。「国民に人気のある小池カードを持っているのは自分だ」という、そこにも絡んで来るのです。いろいろ解散総選挙に向けての思惑が動いて来る。その最初のポイントが、「二階さんは幹事長を続投できるかどうか」ということになります。この水面下の動きがいよいよ激しくなって来るのではないかと思います。
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