「対中国シフト」経済面での対策を打ち出していない日本の問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月20日放送)にジャーナリストの有本香が出演。「クアッド」首脳による初の対面での会議が開催に向けて調整に入ったというニュースについて解説した。
日米豪印、対面での首脳会談に向けて調整へ
アメリカのバイデン政権は、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヵ国が協力する枠組み「クアッド」の首脳が対面で集まる初の会議を9月にもワシントンで開く方向で調整に入った。対中国を念頭にインフラ整備の協力や、新型コロナウイルスワクチンの第三国への供与などについて協議する予定。
飯田)加藤官房長官は7月19日の会見のなかで、「具体的な日程・開催場所は決まっていない」と言っていました。年末までに対面の首脳会談を目指すということでしたが、アメリカからの報道では、具体的なものが出ています。
米中首脳会談へ向けてのもの
有本)毎年、国連総会が9月にありますからね。そこで調整されるのではないか、またはその前後にワシントンでやるのではないかということが言われています。その翌月に米中首脳会談をやるのではないかということですよね。G20に合わせて。
飯田)先にすり合わせてから本番に進むというような。
有本)中国に対して、「クアッドの各国4ヵ国がきちんと連携していますよ」というところを見せて、それで米中首脳会談に臨むということだと思います。
英ウォレス国防大臣と岸防衛大臣が会談~軍事面で対中国シフトに動く日本
有本)それに関連するのですが、イギリスのウォレス国防大臣が来日していますよね。
飯田)そうですね。
有本)イギリスの国防大臣が来日するのは5年ぶりなのです。
飯田)昨日(19日)は岸防衛大臣のところを訪問しているようです。
有本)正式にはきょう(20日)会談するそうですが、これは対中国シフトということで、本格的に各国みんな動いているということです。岸防衛大臣はイギリスだけではなく、またクアッドの国以外にも、さまざまな国の国防大臣と積極的に電話会談や会談をされています。その合間に、被災地へ視察に行かれたり、自衛隊がありますから、オリンピックの対応もされています。大変だろうなと拝察しますけれど。
欧米のような実質的な輸出入規制などを打ち出していない日本
有本)いま中国に対して、各国やって行こうということで、防衛大臣はそういう動きをされているのだけれども、それ以外のところで日本は、中国に対して厳しく当たって行くという策を打ち出せていないですよね。アメリカやヨーロッパは実質的な輸出入の規制などを発表しているではないですか。
飯田)実質的な対中国というところ。
有本)6月末にも、新疆ウイグル自治区に関わる5つの企業を「エンティティリスト」と言うブラックリストに入れました。そうするとアメリカの企業と自由に取引ができなくなるのです。これはソーラー発電などに深く関わっている企業であると。この辺りのアメリカの動きを見ていると、「日本は何をやっているのか」、「何もしていないではないか」という不満がありますよね。
飯田)自分から能動的に動くというより、様子を見ながら、できるだけギリギリまで中国とも取引してビジネスをすると。
経済面での対策を打ち出していない
有本)「やらないようにしている」としか見えないですよね。これは怖いなと思います。せめてもの「いい材料」は防衛省、防衛大臣が頑張っているなということです。先日発表された防衛白書でも、「中国を脅威だと受け止める」という大胆な改定がされています。そこを見ても、軍事面では、中国に対する危機意識が高まっているのだけれども、国全体としての、経済での対策は打ち出されていません。
政府主導で国としての価値観を出さなければいけない
飯田)そうですね。この間、繊維の業界団体と経済産業省がこれからガイドラインをつくるというようなニュースが出ましたけれども。
有本)業界団体任せなのですよ。業界団体につくってくれと。各国はそのようなことはやっていませんからね。
飯田)政府主導で。
有本)政府主導です。しかも人権問題は価値観の話ですからね。企業任せにするような問題ではありません。ビジネスも含めて、どういう価値観でやって行くのかということを打ち出すところだから、やはり国が主導権を取らなければいけないのだけれど、そこをやらないというのは極めて残念ですね。
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