熱中症対策として冷やすべきは、「ふくらはぎ」「手のひら」「後頭部」のどこか?

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が8月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。熱中症の盲点について解説した。

熱中症対策として冷やすべきは、「ふくらはぎ」「手のひら」「後頭部」のどこか?

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

熱中症で亡くなる9割が室内で見つかり、その9割がエアコンを使用していない

飯田浩司アナウンサー)本日は「意外な盲点」がテーマです。どういった盲点ですか?

森田)環境省で「9割問題」と言われている問題があります。

飯田)9割問題。

森田)昨年(2020年)、東京23区で熱中症によってお亡くなりになった200人のうち、約9割が室内で見つかり、またその約9割がエアコンを使っていなかったということから、環境省は「9割問題」と呼んでいます。室内での熱中症が多い、そしてエアコンを使わないことがいけないということは皆さんよく知っていると思いますが、まさか両方とも9割だったというのは意外ですよね。

飯田)そんなに多いのですか。

熱中症にかかる半数以上が高齢者

森田)熱中症にかかる人の半数以上が高齢者だという統計もあります。もともと体の水分量が少ないということと、暑いという感覚が衰えているからだと考えられています。それと、意外なところで熱中症が生じやすいのです。例えば家のなかだとキッチンやトイレです。キッチンは火や熱を使います。また料理に夢中になってしまう。トイレなどもバスルームと接しているところなどでは湿度も高いです。あとは車の後部座席です。エアコンが効きにくい車の方が多いですし、後部の窓から直射日光があたりやすい。しかも車での移動中はトイレを心配して水分を控えますからね。

飯田)長い時間乗る場合だと特にそうですよね。

森田)さらに地面からの照り返しの影響を受ける高さ、ベビーカーやペットは気を付けなくてはいけません。

飯田)私は小さい犬を飼っているのですけれども、この時期に散歩をすると、すぐに「ヘエヘエ」と言います。

新行市佳アナウンサー)この時期の散歩は日中は控えてください。

熱中症対策として冷やすべきは、「ふくらはぎ」「手のひら」「後頭部」のどこか?

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

熱中しているときが危ない熱中症~テレビでのスポーツ観戦時にはエアコンを使用し、こまめな水分補給を

森田)さらにこの夏に私が心配していたのは、自宅でのオリンピック観戦による熱中症です。オリンピック観戦はみんな集中して、熱狂しますよね。

新行)そうですね。家のなかだと声も出してしまいます。

森田)そうすると喉の渇きに気付きにくいままで、お酒などを飲んでいると脱水になりやすいです。そもそも外出自粛の影響で体が暑さに弱くなっています。

新行)慣れていないわけですね。

森田)とにかくこまめに水分補給をして、エアコンも使用するということです。熱中症は、熱中しているときに危ないと言っても過言ではありません。

熱中症対策として冷やすべきは、「ふくらはぎ」「手のひら」「後頭部」のどこか?

森田)最近の研究結果から1つ問題を出したいと思います。日ごろの熱中症対策は、予防としては首や脇の下、太ももの付け根など、皮膚の近くで太めの血管が走っているところを冷やすのが効果的だと言われています。さて、それ以外で熱中症対策として冷やすとよいという研究結果がわかって来たのですが、その場所はどこでしょう? A:ふくらはぎ、B:手のひら、C:後頭部。

飯田)やはり頭を冷やした方がいいのではないですか。

新行)私もCだと思いました。氷枕などもありますしね。

森田)正解は、Bの手のひらなのです。

飯田・新行)そうなのですか。

森田)後頭部には、あまり血管はないのです。手のひらには動脈と静脈を結ぶバイパスのような血管があって、特に体温が高くなると、この血管に血液が多く流れるのです。ですから手のひらを冷やすことで効率よく血液を冷やし、体の温度を下げることができると言われていて、15度前後の水に5~10分程度手のひらをつけておくことがよいとされています。あまり氷や氷水など冷めた過ぎるものを使うと、逆に血管を収縮させてしまうのでよくないと考えられています。

飯田)なるほど、そうなのですね。

森田)適度に冷えたペットボトルなどを握るとよいということです。実際に2年前の甲子園では、熱中症対策としてベンチに用意されていました。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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