いまこそ「ウィズコロナ」の社会に合った医療体制をつくるべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月24日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。新型コロナウイルス感染症に対する現在の医療体制について解説した。
国と東京都が都内の全医療機関に協力を要請へ
田村厚生労働大臣と東京都の小池知事は8月23日、新型コロナ対策について会談を行い、国と東京都で都内すべての病院や診療所、医療従事者などに対し、改正感染症法に基づき、最大限の病床確保と人材派遣への協力要請をすることを決めた。
最低でも3~4年はコロナとともに生きる「ウィズコロナ」の社会づくりが必要
飯田)この要請は、大阪府や札幌市など、自治体が行ったことはありますが、国が実施するのは初めてとなります。どうご覧になりますか?
奥山)私はウイルス専門家というわけではないですが、戦略論的な観点からお話しさせていただきたいのです。結論から先に言うと、初期、日本で新型コロナ感染が始まったとき。横浜港でダイヤモンド・プリンセス号の問題がありました。去年(2020年)の2月くらいですよね。2020年夏くらいから、「ウィズコロナ」という言葉が出て来ました。
飯田)そうでした。
奥山)改めて我々は「ウィズコロナ」という言葉を復活させなければいけないのではないかと思います。世界全般もウィズコロナに振り切って、最低でも3~4年はコロナとともに生きるような社会づくりを、本格的にして行かなければいけないと感じております。
ウィズコロナの社会に合った医療体制をつくるべき~戦時体制への転換が必要
奥山)私はSNSから情報収集をすることが多いのですが、コロナを専門で診ている医療従事者の方もいらっしゃいます。外来で来るコロナの患者さんを診療している彼らの視点、現場の一兵士としての視点を参考にさせてもらっています。
飯田)コロナ専門の。
奥山)そこで残念だなと少し思うのは、彼らは一兵士として、しっかり従事されているのは素晴らしいのですが、医療体制全体、どこに病院を置いて、どこをコロナの専門病棟にするというような、ウィズコロナの社会に合った医療体制、制度設計の議論をしている人があまりいないのです。
飯田)再設計が必要なのかも知れないですね。
奥山)やっているところではないですか。ただ、体制を大きく変えるというところまで議論されている方がいないのは、残念だなと思います。兵士ではなく、将軍レベルの視点で、全体を見てシステム全般を最適化できるような組織や人材、これは厚労省ということになるのかも知れないですけれど、システム全般を見られる人が少ないというのが今回見えて来てしまったのです。
飯田)将軍レベルの視点で。
奥山)戦時体制への転換の部分がまだできていない。現場の方々は人材がいないなかで必死にやられているのはわかるのですが、もっと最適化したような体制をつくっていただけないかと思います。
2023年までは「ウィズコロナ」は続く~保健所の数も増やすべき
奥山)ウィズコロナということなのですが、前回の世界大流行はスペイン風邪でした。始まってから終わるまで4年かかっているのです。コロナも同じくらいではないかということになると、少なくとも2023年の後半、再来年です。ここはじっくり付き合う覚悟で、体制の見直しをやらなければいけないのではないでしょうか。そうすると、いまのところはワクチン接種率を上げるしか方法はないのかなと思います。
飯田)「予算を削れ、削れ」で来て、公立の病院をどんどん民営化するということをやって来た辺りも含めて、転換が必要なのだけれど、既存の仕組みのままでやろうとしているところがまだ多い。
奥山)保健所の数も30年前と比べて半分くらいになっています。そのままではダメでしょう。全体的に大きく変えるような動きがなければおかしいのではないでしょうか。
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