ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日本政府がタリバンとの交渉に政府代表を派遣するというニュースについて解説した。
日本政府がタリバンとの交渉に政府代表を派遣へ
茂木外務大臣は9月5日、アフガニスタンに取り残された日本大使館の現地スタッフらの退避交渉などにあたるため、上村司政府代表を近くカタールのドーハに派遣する考えを明らかにした。「今週中にも派遣し、タリバンとの直接的なやりとりを行いたい」としている。
飯田)昨日(5日)出演のNHKの番組のなかで、茂木大臣が明らかにしたそうです。
タリバンを「アフガニスタンを代表する正当な政府」という位置づけはできない~民間団体のパイプも活用するべき
須田)そういった点で言うとタリバン、あるいは「タリバン政権」について、どのような位置付けをするのか。民主的な手続きを踏んでいないので、「アフガニスタンを代表する正当な政府」という位置付けはできないのです。
飯田)そうですね。
須田)交渉したところで、相手の要求を飲めるところ、飲めないところがある。アフガニスタンも経済的に破綻した状況にあります。タリバンサイドも、ほとんど資金的には枯渇しているので、違約金を含めて支援を要請して来るのだろうと思いますけれどね。日本政府として、それに対してどう理由付けをして対応できるのかというところも、1つあるのかなと思います。ただ、いまタリバンサイドとパイプを持っているのは、政府だけではありません。日本国内の民間団体にもタリバンとパイプを築いているところもあるのです。
飯田)民間団体にも。
須田)退避という人道的なことですから、そういうところを活用しながら、解決して欲しいと思います。
安全の確保が保障されていない空路~陸路ということも考えなければならない
飯田)カブール空港の国内線が一部再開したという話も出て来ていますけれども、空路で行くしかないのですか?
須田)空路の場合、まだアフガニスタン内部は東部も含めて内戦が続いている状況にある。加えてタリバンとイスラム国(IS)は激しい対立関係にあります。本当に安全確保ができているのかどうか。空路で行くと言っても、民間航空機なのか、自衛隊機なのかという問題も出て来るでしょうから、陸路というところも考えて行かなければならないのかなと思います。
飯田)地図で見た場合、カブールから外に逃れようとすると、パキスタン側に逃れるというのも1つの選択肢になりますよね。
須田)もちろんパキスタンサイドに行くというのが、距離的にも近いですし、安全を確保するという点では、短時間で行けるところになるかなと思います。
制約されているなかでは、自衛隊機の派遣は決して遅くなかった
飯田)自衛隊のオペレーションがありました。結果的には、直前に空港での爆破テロがあって、バスが引き返したということがありましたけれども、これはどうでしょうか。「遅かったのではないか」などと批判が出ていますけれど。
須田)でも、よくそれを決断しました。必ずしも遅かったというわけではないと思います。そもそも日本はあまり自衛隊を派遣していませんからね。地の利や法制面を含めて、なかなかスピーディには動けないという状況を考えると、制約があるなかでは早く動いたと思います。
スムーズな派遣ができるような法律の改正が必要
飯田)かつてであれば、派遣することすらできなかった。南スーダンに派遣した実績は現行のなかでもありましたけれど、昔で考えると、そういうことはできなかったですものね。
須田)反対する意見も出て来るでしょうし、何よりも、法制度の面で整合性があるかどうかというところで、グレーゾーンのような部分もありましたからね。
飯田)建前としては、現地の安全が確保されていて、受け入れ国の承認がなければ、派遣ができないということになっていました。
須田)「現地の安全というのはどこまでなのですか?」と聞かれ、小泉政権のときに小泉純一郎さんは「自衛隊機が行ったところが安全なんだ」と、よくわからない答弁をしました。
飯田)ありましたね。
須田)だから相当苦しいのだろうな、と。受け入れ国サイドの承認について、これも正当な制度なのかというところもあるでしょうし。前政権は崩壊してしまって存在しませんからね。
飯田)そうですね。あのタイミングで。
須田)アフガニスタンの場合はね。だからその条件を満たすということは、現実的に不可能なのですよ。その辺りを踏まえて、法律の改正は必要なのだと思います。
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