【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1016回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、9月23日公開の『総理の夫』と『空白』をご紹介します。
映画館で観たい!『総理の夫』~史上初!? ファーストジェントルマンと女性総理が誕生した!
間近に迫った自民党総裁選挙の話題で盛り上がっている昨今。その行方が注目されるなか、映画業界でも日本初の女性総理とその配偶者(ファーストジェントルマン)の奮闘ぶりを描いたヒューマンコメディが、スクリーンを賑わせています。
ベストセラー作家・原田マハの小説を映画化した『総理の夫』。もしかするとそう遠くない将来、この映画のような出来事が本当に起こりうる!?
『総理の夫』のあらすじ
少数野党の党首を務めている凛子を妻に持つ、鳥類学者の相馬日和。政界注目のエースと、企業の御曹司ながらまるで出世欲のない“鳥オタク”。一見すると正反対の性質を持つ2人だが、仲睦まじく暮らしていた。
しかし結婚10年目にして、まさかの激変! 何と凛子は、日本初の女性総理に就任したのだ。
この日から、日和の平和な日常は一変する。総理となった妻の部下から監視され、メディアに追いかけ回され、日本中から熱視線を浴びる。最愛の妻や溺愛する鳥たちと過ごす時間もままならない。
それでも日和は妻の夢を応援しようと尽力するが、2人は予想だにしない出来事に巻き込まれることとなり……。
『総理の夫』のみどころ
思いがけず、“史上初のファーストジェントルマン”となってしまった男・相馬日和を演じたのは、出演作のオファーが絶えない田中圭。シリアスからコメディまで硬軟自在に演じ分ける演技力を本作でも見事に発揮し、愛すべき年下夫をチャーミングに演じています。
そしてもうひとりの主人公“史上初の女性総理”役を演じたのは、5年ぶりの映画主演となる中谷美紀。容姿端麗で頭脳明晰なニューリーダー像を、持ち前の気品とカリスマ性で体現しています。
そんな2人を軸に、貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、木下ほうか、長田成哉、関口まなと、米本学仁、国広富之、寺田農、片岡愛之助、嶋田久作、余貴美子、岸部一徳といった個性的なキャストが集結。政界という確固たる世界観のなかで、ユーモラスに物語が紡がれて行きます。
権謀術数渦巻く政界の裏側を時にコミカルに描きながらも、爽やかな夫婦愛の物語へと昇華させた本作。
夢と希望を二人三脚で実現しようと奮闘する2人の姿に、きっと誰もが涙し、笑顔になれるハズ。この秋、イチオシのエンターテインメント作です。
コチラも映画館で観たい!『空白』~人は何をもって、“空白”を埋めることができるのだろう……
古田新太と松坂桃李が実写映画初共演。吉田恵輔監督のオリジナル脚本による映画『空白』。
中学生の少女による万引き未遂事件と、逃走中に起こった不幸な死。怒りと疑念をエスカレートさせ、事故に関わった人々を追い詰めて行く女子中学生の父親。父親からの圧力や報道の過熱によって、混乱と自己否定の淵へと追い込まれて行くスーパーの店主。やがてこの狂乱は、「登場人物全員が“被害者”であり“加害者”」という様相に……。
偽り、憎しみ、良心の呵責。人々は、この心の空白を、何で埋められるのだろうか。
ある死亡事故から、現代社会の“空白”を映し出す。シニカルかつブラックユーモアを交えた、吉田恵輔監督の視点の素晴らしさに唸らされる1作です。
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『総理の夫』
2021年9月23日(木・祝)全国ロードショー
出演:田中圭、中谷美紀、貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、木下ほうか、長田成哉、関口まなと、米本学仁、国広富之、寺田農、片岡愛之助、嶋田久作、余貴美子、岸部一徳
原作:原田マハ「総理の夫 First Gentleman」(実業之日本社文庫)
監督:河合勇人
脚本:松田沙也、杉原憲明
音楽:富貴晴美
主題歌:miwa「アイヲトウ」(Sony Music Labels)
配給:東映、日活
(C)2021「総理の夫」製作委員会
公式サイト https://first-gentleman.jp/
『空白』
2021年9月23日(木・祝)全国ロードショー
出演:古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子、寺島しのぶ
監督・脚本:吉田恵輔(※吉田監督の「よし」は「土」となります)
音楽:世武裕子
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
配給:スターサンズ/KADOKAWA
(C)2021『空白』製作委員会
公式サイト https://kuhaku-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/