医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が10月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。献血の必要性について解説した。
現代の医療技術では、赤血球や血小板はつくることができず、献血に頼るしかない
飯田浩司アナウンサー)今回も献血について伺います。血液というのは、人工的につくることはできるのですか?
森田)現在、白血球の役割を代用する薬はあるのですが、現代の医療技術では、赤血球や血小板などはつくることができません。ただ、iPS細胞から血液をつくる研究は活発に進められていますので、将来、自分の皮膚細胞や一部の血液細胞を使って、誰にでも効くような赤血球製剤や白血球製剤がつくられる可能性はあります。まだ時間はかかると思いますが。
飯田)人工的につくれないということであれば、いまの献血システムを回して行かなくてはいけないですね。
森田)現状として、輸血のために必要な血液は、献血によって賄われています。献血で集めて医療機関で使用する、この繰り返しのシステムですから、安定的にシステムを動かさなくてはならず、献血をする方が必要なのです。
かつて、血液は患者がお金を出して買っていた
飯田)献血という名にも表れていますが、現在はボランティアという形になっています。かつては対価として、お金をもらって血を提供するということでした。
森田)かつて日本では「売血」というものが行われていました。50年ほど前は売血の占める割合が9割以上であったと聞いています。手術に必要な血液は、患者さん個人が高いお金を出して買うというものだったのです。安全面の確保なども難しくなったため、最終的には禁止になったということです。
東京スカイツリーの真下にある献血ルームも
飯田)「献血したい」または「献血に興味を持った」という方はどうしたらいいですか?
森田)私がおすすめしたいのは、ご自宅の近くで献血ルームを探して予約することです。インターネットや電話での予約が可能です。献血ルームはそれぞれ、特色があります。秋葉原の献血ルームには、たくさん漫画が置いてあり、場所によってはアニメのキャラクターがたくさん置いてある献血ルームもあります。自分が楽しそうだなと思うところで予約されたらいいと思います。
飯田)某公共放送の72時間密着するという企画で、東京スカイツリーの真下にある「ソラマチ」の10階にある献血ルームが舞台になっていて、眺めがよく、オシャレなところでした。
森田)それぞれいろいろな特色があるのですよ。ホームページを見ているだけで楽しくなってしまうものがあります。
新型コロナウイルスに感染した人でも、症状がなくなってから4週間経てば献血できる
新行市佳アナウンサー)新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとに献血はできますか?
森田)ファイザー、モデルナのmRNAワクチンなら、接種後48時間が経過していれば献血できます。これは1回目も2回目も同じです。
飯田)もし新型コロナに感染したという場合はどうですか?
森田)厚生労働省の部会が2021年7月27日に、「新型コロナウイルスに感染した人でも、症状がなくなってから4週間経てば献血できる」という方針を決めたのです。献血前に後遺症の有無などを医師が問診することになっていまして、必要に応じて血液中の酸素飽和度なども測定し、献血が可能かどうかを判断するということです。献血で得られた血液を介して人に感染したという例は、これまでに海外の文献などからも報告されていないということです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます