鳴子峡の紅葉のお供に! 東北新幹線・古川駅の新作駅弁

By -  公開:  更新:

【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

宮城おおさき弁当

画像を見る(全8枚) 宮城おおさき弁当

駅弁は車窓を眺めながらいただくのが美味しいもの。なかには「車窓もおかずの1つ」とおっしゃる方もいます。この時期、車窓を彩るのが紅葉。東北の宮城県と山形県を結んでいるJR陸羽東線は、「鳴子峡」の美しい紅葉が楽しめることで有名です。そんな陸羽東線と東北新幹線が接続する古川駅の企画で、今年(2021年)から地元食材を使った新作の駅弁が登場。ローカル線旅の強い味方になっています。

キハ110系気動車・快速「湯けむり」号、陸羽東線・鳴子温泉~中山平温泉間

キハ110系気動車・快速「湯けむり」号、陸羽東線・鳴子温泉~中山平温泉間

東北本線の小牛田(こごた)から、東北新幹線と交差する古川、鳴子温泉を経由して、奥羽本線(山形新幹線)の新庄の間を結ぶJR陸羽東線。なかでも、鳴子温泉と中山平温泉間にある鳴子峡は、東北を代表する紅葉の名所の1つです。紅葉が見ごろになると、毎年、列車の徐行運転が行われています。週末を中心に、仙台~新庄間で運行される快速「湯けむり」号では、とくにゆっくりと絶景を楽しむことができます。

鳴子峡

鳴子峡

例年10月中旬から11月上旬にかけて、大谷川が刻んだ深さ100メートルに及ぶ大峡谷が紅葉に覆われる鳴子峡。この時期、鳴子温泉駅~中山平温泉駅間には列車の到着に合わせて臨時バス「紅葉号」も運行され、絶景ポイント近くの「鳴子峡中山平口」まで、鳴子温泉駅から約15分とされていますが、国道47号の渋滞で1時間近くかかることも。時間に余裕を持った行程とするか、中山平温泉駅から徒歩でのアクセスも選択肢です。

東鳴子温泉「旅館大沼」母里の湯

東鳴子温泉「旅館大沼」母里の湯

鳴子峡まで足を運んだら、やっぱり鳴子温泉郷に泊まりたいもの。1000年以上の歴史を誇ると言われる鳴子温泉郷は、鳴子温泉郷は、「鳴子温泉」「東鳴子温泉」「川渡温泉」「中山平温泉」「鬼首温泉」の5ヵ所の温泉の総称です。じつに源泉の数は400本近く。多くの宿が敷地内に自家源泉を持っています。何と、日本にある11の泉質のうち、9種類が鳴子温泉郷に集まっており、温泉好きにはたまらない温泉郷なんです。

宮城おおさき弁当

宮城おおさき弁当

そんな鳴子峡、鳴子温泉がある、宮城県大崎市の玄関口・東北新幹線の古川駅には、駅弁がなく、仙台で買えないと、飲まず食わずのローカル線の旅が強いられていました。しかし、今年(2021年)の東北デスティネーションキャンペーンに合わせ、古川駅の企画で新杵屋(山形県米沢市)の製造により、新作駅弁「宮城おおさき弁当」(1250円)が誕生。今年6月1日から、古川駅のNEWDAYSをはじめ、仙台駅の売店でも販売されています。掛け紙には、陸羽東線を走るキハ110系気動車のペーパークラフトも印刷されています。

宮城おおさき弁当

画像を見る(全8枚) 宮城おおさき弁当

【おしながき】
・ささ結の俵型ご飯
・マスのみそ粕漬け焼き(大崎産酒粕・糀みそ使用)
・伊達ざくらポークのハンバーグ
・伊達ざくらポークのみそ焼き
・煮物(大崎産大豆の醤油とちくわ麸使用)
・温泉マーク入り玉子焼き
・大崎名物しそ巻き

宮城おおさき弁当

宮城おおさき弁当

ササニシキ発祥の地として知られる大崎市。その系譜を継ぐお米「ささ結」を使ったご飯と、大崎産の食材をふんだんに使ったおかずの二段重ねで構成される「宮城おおさき弁当」。とくに「ささ結」の白いご飯が美味しく、多彩なおかずとよく合います。この駅弁を手掛けた新杵屋によると、古川駅長さんが以前米沢駅に勤務されていた際、一緒に駅弁開発に携わったご縁があったことや、米沢と大崎(岩出山)は、昔、伊達政宗公が居城を構えた地でもあることから、「駅弁」を通して交流活性化の取り組みが行われたと言います。

キハ110系気動車・普通列車、陸羽東線・鳴子御殿湯~川渡温泉間

キハ110系気動車・普通列車、陸羽東線・鳴子御殿湯~川渡温泉間

現在は古川、仙台、新庄の各鉄道駅に加え、国道47号沿いにある人気の「あ・ら・伊達な道の駅」でも取り扱いがあります。駅弁には「鳴子温泉郷入浴割引券」が付いており、鳴子温泉郷の3つの公衆浴場(しんとろの湯、鳴子・早稲田桟敷湯、滝の湯)で、100円の割引が受けられます。週末は早く完売してしまう駅もあるので売店への予約がお薦め。のどかな車窓を眺めながら、駅弁と共にのんびりとローカル線の旅を楽しんでみませんか。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top