京王の駅弁大会、今年は「原点回帰」! 顔をそろえた地元の味の数々とは?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

しまだフーズの実演販売ブース

画像を見る(全13枚) しまだフーズの実演販売ブース

冬は「駅弁大会」のシーズン。なかでも、東京の京王百貨店新宿店で行われている「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は、全国各地の駅弁が一堂に会する、一大催事です。第58回を迎えた今回は、より一層、原点回帰を鮮明にし、「地元の味」をメインに据えた新作駅弁が顔を揃えました。「駅弁膝栗毛」でも5回シリーズで、駅弁各社の取り組みに、注目してまいります。

京王5000系電車「京王ライナー」・京王8000系電車「高尾山トレイン」、京王線・八幡山~上北沢間

京王5000系電車「京王ライナー」・京王8000系電車「高尾山トレイン」、京王線・八幡山~上北沢間

京王百貨店新宿店「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」見て歩き(第1回/全5回)

朝の座席指定列車「京王ライナー」が、「迎春」ヘッドマークを掲げて、新宿を目指します。すれ違う緑色の列車は、平成27(2015)年から運行されているラッピング車両、「高尾山トレイン」。高尾山薬王院はもちろん、高幡不動や大國魂神社、深大寺をはじめとした、京王線沿線の神社仏閣は、この新春も大いににぎわったことでしょう。そして成人の日の3連休からは、新宿のまちも大きなにぎわいを見せています。

京王百貨店新宿店

京王百貨店新宿店

今年(2023年)1月7日から始まった「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。“駅弁の甲子園”とも云われ、大阪・梅田の阪神百貨店、熊本の鶴屋百貨店などと共に、全国有数の駅弁大会として知られます。この駅弁大会には、全国の駅弁各社の幹部も多くが集結して、実演販売が行われており、“駅弁サミット”と言っても過言ではありません。さっそく、今回の注目駅弁を見ていくことにいたしましょう。

しまだフーズの実演販売ブース

画像を見る(全13枚) しまだフーズの実演販売ブース

今回の目玉企画は「地元自慢!名物食材の新作駅弁競演」。全国5つの駅弁屋さんが開発した新作駅弁が顔を揃えました。トップバッターは水戸駅弁を手掛けるしまだフーズの「常陸牛のロースステーキとローストビーフの贅沢盛り弁当」(2600円)。

常陸牛のロースステーキとローストビーフ贅沢盛り弁当

常陸牛のロースステーキとローストビーフ贅沢盛り弁当

A5ランクの常陸牛の2つの味を楽しめます。ステーキは岩塩、ローストビーフはタレでいただけば、口のなかで肉の脂と旨味がトロけます。じつは筑波山の日の出をイメージした盛り付けだそう。

高野商店の実演販売ブース

高野商店の実演販売ブース

魚介系の筆頭は、加賀温泉駅を拠点に駅弁を製造する高野商店の「駅弁たかのの香箱御膳」(3200円)。香箱がにはズワイガニのメスのこと。資源保護のため、漁の期間が短く、希少価値が高いことから高級食材として知られます。

駅弁たかのの香箱御膳

駅弁たかのの香箱御膳

この香箱がにの濃厚な味と、サッパリとした蟹酢ジュレがよくマッチしたこちらの弁当。とくにかに味噌の旨味が食欲をそそってくれました。このほか、バイ貝の旨煮も添えられています。

丸政の実演販売ブース

丸政の実演販売ブース

現地では、予約制で揚げたてをいただくことができるカツサンドが、ファンの心をつかんでいるのが、山梨県の小淵沢駅を拠点に駅弁を製造する丸政。今回は、「特上甲州かつサンド」(1480円)と銘打った新作を投入してきました。

特上甲州かつサンド

特上甲州かつサンド

パンに地元・山梨で人気を誇るパン屋さん、「コーナーポケット」のふんわりとした食感のパンを使用。厚切りのカツには甲州富士桜ポークを使用するなど、文字通り「特上」な逸品に仕上げたそうです。

小名浜美食ホテルの実演販売ブース

小名浜美食ホテルの実演販売ブース

そして、いわき駅を拠点とする小名浜美食ホテル(アクアマリンパークウェアハウス)は、「吉次(キンキ)煮付とうに貝焼き御膳」(2080円)。

吉次煮付とうに貝焼き御膳

吉次煮付とうに貝焼き御膳

「駅弁膝栗毛」でも昨年秋の取材時、煮魚を使った新作をほのめかしていた鈴木社長ですが、さっそく、北の魚・キンキを使ったとろけるような煮魚と、いわきのご当地料理・うにの貝焼き、上品な味わいの鯛の刺身を組み合わせた新作を送り込みました。思わず鯛茶で〆たくなる、満足度の高い駅弁です。

旭川駅立売商会の販売ブース

旭川駅立売商会の販売ブース

これに、北海道を拠点とする旭川駅立売商会の「道産彩り弁当」(2900円)を合わせた5つが、「地元自慢!名物食材の新作駅弁競演」と銘打たれて、チラシの一面を飾ります。京王百貨店によると、今回は駅弁の基本、「地元の味」を全面に打ち出し、原点回帰を目指したとのこと。京王の駅弁大会で味わった駅弁をきっかけに、ぜひ、その駅弁のふるさとへ足を運んで欲しいという願いを込めた企画だといいます。

E657系電車・特急「ひたち」、常磐線・赤塚~内原間

E657系電車・特急「ひたち」、常磐線・赤塚~内原間

冬晴れの常磐線を快走する特急「ひたち」号。北茨城から福島浜通りは、冬の海の幸が旬を迎え、追って水戸の梅が見頃に差し掛かります。旭川の旭山動物園は、ペンギンの散歩が見られるシーズンに入り、中央東線の車窓は、富士山や八ヶ岳、南アルプスがよく見える時期。そして、北陸は海の幸が最高に美味しい季節が続きます。全国旅行支援も再開されたいま、駅弁大会でいただいた駅弁のふるさとも、自分の足で訪ねたいものです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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