「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
令和5(2023)年も、「ライター望月の駅弁膝栗毛」をよろしくお願いいたします。年末年始、東海道新幹線を利用してふるさとへ帰省したり、古都・京都や奈良の神社仏閣をめぐる方もいらっしゃると思います。乗客の多い時期、車内で食事をするなら、しっかり香りにも配慮した「駅弁」を選ぶのが賢い選択というもの。しかも、東海道新幹線の主要駅には、“車窓を眺めながらいただく”ことをコンセプトとした新作駅弁が登場しています。
初夢に出てくると縁起がいいとされる「一富士二鷹三茄子」。なかでも、富士山が初夢に出てきたら、気持ちよく1年を始められそうです。とはいえ、富士山をご神体とするのは、「木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)」。女性の神様ということもあって、晴れていても、その姿を見せてくれるかどうかは、そのときの“ご機嫌”次第とも云われます。それゆえ、東海道新幹線の車窓から富士山が見えると、本当に嬉しいものですね。
東海道新幹線主要駅の駅弁を製造・販売する「ジェイアール東海パッセンジャーズ」が、設立20年を迎えた2022年秋、駅弁の新ブランド「車窓食堂」を立ち上げました。“車窓を楽しみながらいただくことができる駅弁”をコンセプトに2種類の二段重の弁当を発売。その1つ「二段重 山~鶏とだし巻卵~」(1100円)は、車窓から眺める山の豊かな風景を思い浮かべていただきたい弁当だそう。掛け紙にも、赤富士が描かれていますね。
【おしながき】
(一の重)
・白飯
・鶏飯
(二の重)
・玉子焼き
・鶏肉の照り焼き
・鶏肉の唐揚げ
・鶏つくね焼き
・煮物(人参、椎茸、いんげん)
・漬物
ご飯は白飯と鶏飯の2種類。鶏肉のおかずは照り焼き、唐揚げ、つくねの3種類の味を楽しめます。目を引くのが「車窓食堂」のロゴが焼き印されただし巻き卵。このロゴは、富士山の形とJRの「J」をモチーフとしたものだそう。関西風に甘味を抑え、昆布の風味を効かせた上品な味わいです。甘めのたれで仕上げられた照り焼きとつくねは、別添えの七味唐辛子とゆず胡椒でピリッと風味を効かせると、より箸が進みますね。
現在は東京~新大阪間ののぞみ停車駅、リニア・鉄道館の「DELICA STATION」などで販売されている「車窓食堂」の2つの駅弁。今回、車窓と駅弁で“豊かな時間”を過ごして欲しいという思いを込めて、ジェイアール東海パッセンジャーズとしては初めて“二段重”の駅弁で、新ブランドを立ち上げたそう。冬は富士山や伊吹山など車窓の山が美しい時期。新年の新幹線の旅は、新ブランドの駅弁で彩ってみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/