「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
深まりゆく秋、温泉で温まりたくなりますね。首都圏在住で温泉を楽しむなら、やっぱり「群馬県」! 湯の香たっぷり草津温泉、石段の街・伊香保温泉、四万の病を癒すという四万温泉、バラエティ豊かな温泉が点在する水上温泉郷……挙げればキリがないくらい、行きたい温泉に満ち溢れています。そして、温泉地の近くには、紅葉スポットもいっぱい! 魅力度ランキングに異を唱える知事さんの気持ち、私もわからなくはありません。
駅弁味の陣2021・気ままに味めぐり(第4回)
上野から東北本線・高崎線・上越線・吾妻線を経由し長野原草津口の間を、約2時間20分かけて乗り換えなしで結ぶ特急「草津」号。651系電車の7両編成で1日2往復が定期列車として運行されている他、週末や繁忙期には臨時列車も運行されます。長野原草津口駅と草津温泉の間は、JRバス関東によって、特急「草津」の発着に合わせて、ノンストップの路線バスが運行されています。
草津温泉は、江戸時代の温泉番付でも「東の大関(当時は横綱なし)」に位置付けられ、全国有数の名湯として知られてきました。温泉街のシンボル・湯畑には、コロナ禍のなか、温泉で手を洗うことができる「手洗乃湯」が新たに設けられました。草津温泉はph1~2の強い酸性のお湯ゆえ、ウイルスの不活化など、感染症対策にも効能が認められていると言います。その意味でも、いまの時期だからこそ訪れたい温泉なんです。
(参考)草津温泉観光協会ホームページほか
温泉を楽しみながら、群馬の秋を鉄道で満喫するなら、やっぱり高崎駅の駅弁をお供に選びたいもの。だるま弁当や鶏めし弁当でおなじみの「高崎弁当」が、この秋限定で販売しているのが「秋味弁当」(1000円)です。掛け紙も高崎らしく真ん中にだるま、その周りを色とりどりの紅葉の葉っぱがぐるっと囲む形で描かれていて、秋駅弁を感じさせてくれます。現在開催中の「駅弁味の陣2021」にも参加しています。
【おしながき】
・さつまいものおこわ 栗の甘露煮 ししとうの素揚げ 紅葉生麩煮 ごま
・鶏肉の治部煮
・茄子の揚げびたし
・舞茸の天ぷら
・赤こんにゃく煮
・梅漬け
・野沢菜漬け
・生姜の酢漬け
秋の実りと紅葉をイメージしたという「秋味弁当」。メインのさつまいもおこわはモチモチのご飯に、ホクホクの芋と栗が彩りよく載っていて、食欲をそそってくれます。脇を固めるおかずには、群馬らしい舞茸天や赤こんにゃく、カリッとした食感が魅力の梅が入っている他、鶏肉の治部煮や野沢菜漬けは、長野・金沢方面へ北陸新幹線が分岐している高崎らしさも感じさせてくれます。高崎弁当によると、鶏肉の治部煮は、冷めても美味しく、やわらかい食感の鶏肉を実現すべく、加賀料理にヒントを得て調理法として取り入れたそうです。
東京~新潟間の上越新幹線では、10月1日でオール2階建てのE4系新幹線電車が引退して、北陸新幹線と共通のE7系新幹線電車にお目にかかる機会が増えてきました。電源コンセントや無料Wi-Fiをはじめ、ダイヤが乱れても回復しやすくなったり、その先にはさらなるスピードアップも期待されるところ。新しい新幹線もまた、群馬県の魅力アップにひと役買ってくれそうです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/