「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
鉄道会社の看板列車になっていることも多い「SL」。SL列車の運行に合わせて、列車内限定弁当を製造しているケースも多く見られます。埼玉県内を走る秩父鉄道もその1つ。今年(2021年)からリニューアルされた「SLパレオエクスプレス」の車内弁当は、鉄道会社と地元のレストランの共同開発によって生まれた興味深い逸品です。あの秩父のご当地グルメを、お洒落に美味しくアレンジしています。
懐かしいSLの旅で味わう新作駅弁(第3回/全3回)
“都心からいちばん近い蒸気機関車”としておなじみ、昭和63(1988)年から秩父鉄道・熊谷~三峰口間で運行されている「SLパレオエクスプレス」。同じ区間を走る急行「秩父路」なら約1時間10分、各駅に停まる普通列車でも約1時間半で走破する区間を、2時間以上かけてゆっくりと駆け抜けて行きます。牽引するC58形蒸気機関車363号機は、去年(2020年)1年間、検査でお休みしたこともあって、快調な走りを見せてくれています。
2021年の「SLパレオエクスプレス」は全車指定席での運行。秩父鉄道公式サイトにある「秩父鉄道SL予約システム」から発車時刻30分前までに予約をして、乗車駅で支払い、「SL指定席券」と引き換えて乗車します。とくに下り列車に熊谷駅から乗車する場合は、まずは秩父鉄道の窓口等で乗車券を購入後、SL指定席券の発券カウンターに並んで、QRコードまたは名前の照合で現金支払い。SL指定席券はおとな・こども共通で740円。熊谷駅では、発車30分くらい前から行列になることが多いので、早めの到着が吉です。
SLを予約する際、ぜひ合わせて予約したいのが、「SLパレオエクスプレス」の限定弁当。今シーズンからSL弁当がリニューアルされ、完全予約制のお洒落な「SLの車窓を楽しむワンプレートランチ」(1400円)に生まれ変わりました。SLの指定が取れたら、秩父鉄道公式サイトの「SL弁当WEB予約フォーム」から自分の座席を入力して予約、当日の車内にて現金引換えで受け取ります。なお、受付の〆切は、乗車日直近の平日正午まで。個数限定ですので、とくに週末と連休が重なる時期は、早めの予約がお薦めです。
【おしながき】
・埼玉武州和牛のロースト
・秩父ホエー豚のわらじかつ~イタリアントマトマリネ添え~
・さいたまヨーロッパ野菜研究会の彩り野菜
・秩父産野菜
秩父おなめのバーニャカウダソース
・ビーツ風味のポテトサラダ
・ご飯(「彩のきずな」使用)
秩父鉄道と秩父市内の「秩父うさぎだ食堂」とのコラボで誕生した「SLの車窓を楽しむワンプレートランチ」。埼玉武州和牛のローストビーフとご当地グルメ・わらじかつの組み合わせがとても新鮮、とても美味! ビーフは素材の旨味が光り、素朴なわらじかつをイタリアンで仕上げたひと工夫が、旅のワクワク感をかき立てます。なかでも甘辛のわらじかつに兎田ワイナリーの秩父ルージュとバルサミコ酢を使って作られた特製ダレが使われており、サッパリ感がわらじかつの新たな魅力を引き出しています。そして、秩父の地野菜などもたっぷり入って、埼玉・秩父のポテンシャルの高さを感じさせる弁当に仕上がっています。これは予約していただいた価値があるというものですね。
「SLパレオエクスプレス」は寄居、長瀞、秩父の各駅で長めの停車がある他、車窓には荒川の流れや秩父のシンボル・武甲山など自然豊かな景色が広がります。また、30年以上の歴史を重ねていることもあり、沿線の皆さんがSLにいっぱい手を振って下さいます。JR高崎線、東武東上線、西武秩父線といった都心と直結した路線からのアクセスも良好。埼玉の美味しいものをいただきながら、気軽に汽車旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/