ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月30日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックについて、また、2022年に行われる北京五輪について解説した。
2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致
2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市は、11月29日に開かれた市議会の特別委員会で新たな開催概要計画を示した。これまでの試算から開催経費を最大900億円削減している。2030年冬のオリンピック・パラリンピックをめぐっては札幌の他、アメリカのソルトレークシティー、スペインのバルセロナが他の都市との共催で興味を示すなど、複数の都市が招致を進めている。
飯田)いずれの場所も「ああ、前にもあったなあ」という感じです。
クラフト)ソルトレークなどは懐かしいですよね。
飯田)他の都市と共催ということであれば、どこと共催するのか。
「共催」は今後のオリンピックの1つのあり方かも知れない
クラフト)今回のポイントの1つは「共催」です。予算を分担して負担を軽減するということです。札幌は「900億円削減」ということを打ち出していますけれど、いままでも予算通りに収まった試しはないので、数字を出すことはどうなのかなと思います。今後のオリンピックのあり方として、「複数の都市が負担を分かち合う」ということが1つのあり方かも知れません。
飯田)1つの都市で全部責任を被るには、規模が大きくなり過ぎてしまったと。
クラフト)今回の東京での教訓もあります。東京オリンピックはやってよかったと思うのですけれども、やはりこれだけの規模の大会を1つの都市・国が背負うのは、今後難しいのではないでしょうか。
札幌五輪では1972年の冬季五輪で使用した施設の流用も
飯田)札幌は1972年に冬のオリンピックを開催していて、そのときの施設などの流用等も視野に入れつつ、削減の方向になったようです。
クラフト)流用と言っても、大分古くなっていますから、そのまま使うわけには行かないでしょう。それなりの費用はかかると思うので、北海道民の方々ともよく議論しながら、札幌市がうまく打ち出すべきです。
北京五輪への外交的ボイコット ~腰が引けている中途半端な「ボイコット」
クラフト)個人的には、いま、北京オリンピックに対して、国としてどういう姿勢を取るのかが問われているのではないかと思いますけれど。
飯田)ある意味、オリンピックという世界的なイベントそのものの価値観も問われることになります。
クラフト)IOCの金権体質、それから、中国のテニス選手の問題もありますが、人権問題に対する姿勢が弱過ぎるところに問題があるのではないかと思います。
飯田)IOCの。
クラフト)アメリカは外交的ボイコットを検討していますけれど、このコロナ禍に外交官が行ったところで何のメッセージにもなりませんし、中国としても選手さえ来てくれればいいわけです。そういう意味ではボイコットにはなっていない。しかしボイコットしているような、「やっている感」を見せているような気がします。行くなら完全に行く、行かないなら行かない。はっきりした姿勢を見せるべきだと思います。
アメリカと歩調を合わせていない欧州
飯田)イギリスやアメリカ、オーストラリアが外交的ボイコットを検討していますけれども、確かに腰が引けていると言えば引けている。
クラフト)欧州は7月に法的拘束力のない、お願いベースのものではありますが、「行かない方がいい」という法案を出しています。今回、欧州はアメリカと歩調を合わせていません。西側諸国の足並みの乱れが際立っているかなとも思います。
日本は独自の姿勢を示すべき ~アメリカに合わせる必要はない
クラフト)日本は日本で、アメリカがボイコットするから「日本も」とする必要はありません。日本は独自の姿勢を示すべきです。個人的には、スポーツに政治を持ち込むべきではないと思うので、オリンピックは行くとしても、人権問題にはきちんと抗議を申し立てるべきだと思います。
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