新たな駅弁大将軍、山梨に誕生! ワインに合う駅弁とは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
10月~11月にかけて、東日本エリアで行われた駅弁の人気投票「駅弁味の陣2021」。10回目となる今回は、中央本線・小淵沢駅、甲府駅などで販売される「ワインのめし」が最高得票の「駅弁大将軍」に選ばれました。特徴は、何と言っても「ワインに合う駅弁」。いったいどんな駅弁なのか、改めていただいてみました。
甲府盆地のぶどう畑のなかを駆け抜けて行く、中央本線の特急「あずさ」号。甲府駅からわずか5分ほどで車窓に一面のぶどう畑が広がります。このぶどうを活かして作られる、山梨のワイン。山梨県は日本ワイン発祥の地で、令和元(2019)年8月には「ワイン県」を宣言しています。鉄道の旅は、移動中もお酒を楽しめるのが1つの魅力。静かに嗜むワインは、コロナ禍以降の“呑み鉄”旅に、ピッタリかも知れません。
ワインによく合う新作駅弁として、2021年3月に発売された「ワインのめし」(1500円)。小淵沢駅弁の「丸政」とJR東日本八王子支社とのコラボレーションで誕生した新作です。「ワインのめし」とは、「ワインのご飯」と、甲州弁の「ワイン飲めし(飲んでいきなさい)」をかけたもの。小淵沢の定番「元気甲斐」に相通じる一捻りあるネーミングがいいですね。掛け紙は、地元のフリーマガジン編集者の方と絵本作家の方の共作です。
【おしながき】
・甲州フジザクラポークのかつサンド
・レーズンパン
・牛肉炭火焼き 白ワイン仕立て
・甲州ほうとうグラタン
・甲斐サーモンのマリネ
・甲州地鶏テリヤキチキン
・甲州鶏もつ煮
・ワインきのこと小エビのアヒージョ
・チーズケーキ
・ドライフルーツと月の小石チョコレート
今回、「ご飯がない駅弁」が大将軍に輝いたのは画期的。受賞に丸政では「『ワインのめし』は、JR東日本社員の皆さまからの『ワイン県、山梨らしいローカル色豊かな車窓の景色を見ながら駅弁を』というご提案を、そのまま駅弁として作らせていただきました」と談話を出しています。この提案を、そのまま実現できる技も見事。長年、カツサンドなどを手掛けてきたノウハウが、惜しみなく注ぎ込まれています。加えて、ほうとうなど郷土色の強い食材を使いながらワインに合うよう洋風にアレンジ。牛・豚・鶏肉にサーモンも入った、贅沢なおつまみ駅弁に仕上がっています。
小淵沢・甲府は、新宿まで「あずさ」で約1時間半~2時間という駅弁環境の厳しい駅。そのなかでJRの方も開発に関わりながら、地域の魅力を発信し、駅弁文化を次世代へ繋いでいく取り組みが行われているのは、とてもいいことだと感じます。「元気甲斐」「高原野菜とカツの弁当」「そば屋の天むす」など、名物駅弁が目白押しの小淵沢。「あずさ」でいただきたい駅弁が、また1つ増えました。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/