小池都知事がコロナ対策で提供で話題の『有名駅弁』4種とは “駅弁ライター”が緊急詳細解説!

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小池都知事がコロナ対策で提供で話題の『有名駅弁』4種とは “駅弁ライター”が緊急詳細解説!

小池都知事 コロナ宿泊療養者に有名駅弁

東京都の小池知事は1月14日、新型コロナの感染者などが隔離されている宿泊療養施設の食事について、週1回程度各地の有名駅弁などを提供すると発表し、話題を集めている。「日常と違う、そして単調になりがちな宿泊療養施設での療養に少しでも彩りを添えるための工夫もしようということで、療養期間中に週に1回程度ですけれども、駅弁など特色のある食事を提供したいと思います」と小池知事は説明し、第1回の実施となった1月16日には、JR東日本の協力の下、有名駅弁の「牛肉どまん中」(山形)、「鯛めし」(神奈川)、「炭火焼き牛たん弁当」(宮城)、「深川めし」(東京)などが提供された。

これらは、今回選ばれるだけあって、大きな人気を誇る駅弁たちであるが、どんなこだわりが込められているのか、どんなおいしさが詰まっているのか--- 当サイト「ニッポン放送 NEWS ONLINE」でも『ライター望月の駅弁膝栗毛』の連載を持つ、「駅弁」食べ歩き15年の放送作家・望月崇史が緊急解説する。

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「牛肉どまん中」

画像を見る(全5枚) 「牛肉どまん中」

「牛肉どまん中」(1250円、山形新幹線・米沢駅、新杵屋)

今年で誕生から30年を迎える山形・米沢の名物駅弁。山形新幹線の開業に合わせて開発された。山形県産米「どまんなか」の上に牛肉煮と牛そぼろが載る。牛肉の美味しさのカギは2度煮ること。1度目で余分な脂を落とし、2度目で秘伝のたれを使ってじっくりと味をつける。和菓子店ルーツの製造元・新杵屋だけに、醤油ベースのたれには昔からの技も活きている。牛肉をひと口大にしたり、牛肉とご飯の量のバランス、ご飯を最後のひと粒まで食べられるよう角の丸い折箱にするなど、様々な工夫も詰まった駅弁だ。

「鯛めし」

「鯛めし」

「鯛めし」(830円、東海道本線・小田原駅、東華軒)

明治40(1907)年発売、今年で誕生115年を迎える小田原のロングセラー駅弁。こだわりは、茶飯の上に載った「鯛おぼろ」。1世紀以上、調理場で脈々と受け継がれている伝統の調理法によって、ほんのり甘く仕上げられている。小田原名物蒲鉾は、地元業者のものを使用。あさりの佃煮や竹輪などの素朴なおかずが、明治の風を現代に伝える。東海道の旅には欠かせないわさび漬けも入って、甘い鯛おぼろに、ピリ辛のアクセントを付けていただくのがたまらない。

「極撰 炭火焼き牛たん弁当」

「極撰 炭火焼き牛たん弁当」

「極撰 炭火焼き牛たん弁当」(1450円、東北新幹線・仙台駅、こばやし)

仙台の牛たん駅弁と切っても切り離せないのが「加熱式容器」。国鉄からJRになった昭和62(1987)年、紐を引き抜いて蒸気で温めるタイプの「加熱式駅弁」が誕生した。この技術で冷めると固くなってしまう牛たんを美味しく食べられるようにしたのが、仙台駅・こばやしの牛たん駅弁だ。当初は3ミリの厚さの牛たんが限界だったが、改良によって「極撰 炭火焼き牛たん弁当」では7ミリの厚切りが可能になった。牛たんと麦飯のいい香りと共に、技術の進歩も満喫したい。

「深川めし」

「深川めし」

「深川めし」(950円、東京駅ほか、日本ばし大増)

江戸・東京を代表する郷土料理「深川めし」。江戸の漁師たちに愛されたぶっかけめしに由来する。日本ばし大増が製造する「深川めし」は、より伝統に忠実に、あさりの深川煮に江戸甘味噌を使用。生姜風味を効かせていて、コクがあるのにサッパリとした食感も感じられる。添えられたごぼうはごま油の炒め煮、炊き込みご飯もあさりの旨味を活かすなど、見た目はシンプルでも、しっかりと手間がかかった駅弁だ。

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<今回の療養者への駅弁に関する所感 ~望月崇史>

駅弁業者は、コロナ禍による外出自粛、および会合などの自粛によって、ケータリング需要も失い、売り上げが8~9割以上減った企業が多い。一方、ある地方で、コロナ療養者の弁当を製造した駅弁業者によると、中等症くらいまでの療養者であれば、回復が進むほど食欲が旺盛な方も多く、駅弁の味が届けられ、大変喜ばれたそうだ。今回、駅弁を提供している仙台駅弁のこばやしは、東日本大震災の翌日から弁当を製造、東北の復興を支えた業者だ。とくに国鉄時代からの駅弁業者には、災害時に地域を支える「食のインフラ」としての矜持がある。公的資金を使ったこの取り組みには、療養者と駅弁業者の救済だけでなく、いざという時の、私たちの暮らしを守る視点があることも忘れてはならない。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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