デジタル監が代わっても、従来の役所のやり方では物事は動かない

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数量政策学者の高橋洋一が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」に出演。新デジタル監に民間出身の浅沼尚氏が就任したデジタル庁について解説した。

デジタル庁発足式で記念撮影に応じる平井卓也デジタル大臣(右)と石倉洋子デジタル監=2021年9月1日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

新デジタル監に民間の浅沼尚氏が就任

デジタル庁の事務方トップである「デジタル監」を8ヵ月足らずで退任した石倉洋子氏の後任に、同じ民間出身の浅沼尚氏が就任した。浅沼氏は東芝で工業デザインなどに携わり、デジタル庁でデザイン部門のトップを務めていた。

飯田)鳴り物入りで発足したデジタル庁ですが、トップがこのタイミングで変わることになりました。

高橋)石倉さんはもともと審議会の常連の学者だったのです。この手の話はいつもトップを民間出身者にするのですが、実際のマネジメントは全部官僚に任せるのです。

官僚が400人、民間は100人くらい

高橋)官僚に任せるのだけれど、デジタル庁には600人規模の職員がいて、官僚が約400人、民間が約200人。しかし、辞めた方もいるので、おそらく100人くらいです。

飯田)官僚の人が400人。

高橋)官僚が400人と言っても、本当は400人もいりません。各省庁に関係があるので、各省庁から行った官僚はスパイのようになるのです。「何の仕事をしているのか」ということを聞いて、自分のところの省庁に送り返し、指示を仰いで「自分の省庁が有利になるようにする」。そればかりです。そうすると、1つの案件があった場合、みんなが「自分に関係がある」と言うので、関係者が増えるのです。

飯田)縄張り争いのようなことが。

官僚は管理職が20人いればいい ~それ以上多くなるとまとまらない

高橋)もちろんそうです。私も経験があります。郵政民営化委員会で、官僚を100人集めたのだけれど、本当に使える官僚は2人しかいなかったと言われました。私ともう1人だけ。それだけでいいのです。他は何もしなくていい。今回のデジタル庁の話も、私の所感では20人くらいの管理職だけを送ればいいと思います。

飯田)20人くらいの。

高橋)あとはみんな民間の方に来てもらって、20人に管理職を与え、担当を決めてしまう。それで「他には口を出すな」とするのが最も簡単なやり方だと思います。そうしないと、船頭多くして何とかという感じになります。

説明ばかりで仕事にならない ~各省庁から出向で「説明を聞きに」きている

飯田)いろいろな人に説明したり会議があったりと、「説明ばかりでほとんど仕事にならない」という報道も出ています。

高橋)いろいろな省庁の人が来ているのです。「自分のところは説明を聞いていない」などと言ったら怒られてしまいます。出向だから、どうせ2年経ったら戻るわけです。

デジタル庁が入る紀尾井町ガーデンテラスに設置された案内表示=2021年9月1日、東京都千代田区 写真提供:時事通信

官僚が次々と説明を聞きにきて物事が進まない ~合議(あいぎ)

高橋)そのときに、そこで何をやったかはどうでもいいのです。親元の意向ですべて動いているので、官僚全員に説明しなければいけないということになります。だから仕事はできません。普通、民間では上司に説明するだけです。

飯田)直属の上司に説明すれば案件は通ります。

高橋)しかし、民間と違い、官僚が次々と説明を聞きにくるのです。これを合議(あいぎ)と言います。

飯田)合議?

高橋)責任者がたくさんいるというような意味です。

飯田)1個1個ハンコをもらってこなくてはいけない。そのような組織の場合は、上に立つ人や政治家が「これをやるのだ」というものがないと、進まないということですね。

「自分が全部責任を持つから説明しなくていい」と決め、大臣だけに報告するような形にする ~役所のやり方では進まない

高橋)大臣の問題です。そのような役所のやり方でやらせてはいけません。「この人だけだ」と決めておいて、その人は大臣にのみ報告する。そのような形にすれば、その人が全部マネジメントするので、他からの説明がいくら必要になっても、部下には「説明しなくてもいい」と言ってしまえばいいのです。「自分が全部責任を持ってやるから」と、そのような体制でなくてはなりません。

飯田)「省庁横断型」というものは、そのようなやり方でなくては動かないということですね。

高橋)だから本当は横断にならないのです。1人が担当する。どのような組織もそうですが、組織図があるときには担当者がいるのだけれど、役所の組織図には担当者がないのです。形式的には1人いるのですが、あとは20~30人ほどの関係者がいるという感じです。それでは意味がないのです。だから1人だけにさせなければできません。

デジタル監が代わっても、従来の役所のやり方では物事は動かない

飯田)そうすると、浅沼さんに変わったからといって、何かドラスティックに変わるというものではない。

高橋)役人が周りにいるでしょう? そうすると、相変わらず1つのプロジェクトに対して、関係者が20~30人いるということになるのだと思います。それでは動かないのです。役所の仕事の仕方は、民間の人にはわからないと思います。関係者が来てしまうと説明しなくてはならない。それで時間を使ってしまうのです。

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