東京都医師会理事で順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏が5月18日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。プロ野球選手のコンディショニングについて解説した。
プロ野球選手のコンディショニング
飯田浩司アナウンサー)先生は千葉ロッテの選手の指導を行っているということですけれども、プロ野球選手にはどんなアドバイスをされているのですか?
小林)2年前から行っていますが、それまで千葉ロッテは、私のような専属のドクターを置いていなかったのです。
飯田)2年前までは。
小林)しかし、球団の方針で選手のケアやコンディショニングが重要だということになり、依頼がありました。ロッテのZOZOマリンスタジアムは幕張ですが、順天堂大学の場合、附属の浦安病院が浦安にありますので、相手チームが怪我をしたときもすぐに運ぶことができます。怪我に対するケアの不安がなくなったことは大きいのではないでしょうか。
飯田)そうですね。
小林)選手については、オリンピック選手を多く輩出しているスポーツ健康科学部で、入団時のメディカルチェックや体力測定を行います。その他、年に3~5回の血液検査で栄養状態や体力の状態を調べます。それから自律神経を測定して疲労の回復度やバランスをチェックし、選手にフィードバックしながらアドバイスしています。
自律神経の状態で疲労度がわかる
飯田)測定すると数字として表れます。メンタルの部分を引き出すためには、アドバイスの方法も数字によって変えるのですか?
小林)疲労度を示すマーカーというのはあまりないのですが、自律神経を見ればある程度、疲労度がわかるのです。自律神経によって疲労度が強いことがわかると、いいパフォーマンスはできないですね。
飯田)自律神経で。
小林)流れというものがあって、流れが悪いときはなかなか止めることはできません。そういうときには、思い切った手を打たないとバランスが崩れてしまいます。最初は野手だけ、投手だけ、バッターだけというところから全体に広がると、負の循環に陥ってしまうので、どこで食い止めるかは重要なことです。
飯田)自律神経の具合はどうやって調べるのですか?
小林)指先や耳たぶなどを測ると、1~3分でデータが出てきます。そのデータからコンディションを知ることは可能です。
自律神経の悪さが伝染し、「流れ」の悪さとなる
飯田)「流れ」とおっしゃいましたが、よく「試合の流れが悪い」、「連敗中は流れが悪い」などと言います。その流れの悪さは、自律神経の流れの悪さが伝播するものなのですか?
小林)自律神経は伝染します。エラーが続くときがありますが、それも伝染によるものです。
飯田)自律神経の乱れが伝播すると考えると、それを断ち切るように選手交代しなければならない。
小林)絶対にしなければいけませんね。流れを変えるには、ファインプレーやナイスバッティングをするムードメーカーが必要になります。その前に、エラーをしない、バントを決める、走塁ミスをしないというところから直さなければ、元に戻ることはありません。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます