東京都医師会理事で河北総合病院・理事長補佐、心臓血管外科医の新井悟氏が5月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍の大規模イベントと救急医療について解説した。
コロナ禍の大規模イベントと救急医療
飯田浩司アナウンサー)コロナ禍の大規模イベントと救急医療について伺います。経済活動が徐々に再開されてきましたが、大規模イベントを行う場合、会場でさまざまな備えが必要になります。先生はそのような現場にも参加していらっしゃるのですか?
新井)私は東京マラソンの医療救護委員会のメンバーになっていまして、その救急医療に関係しています。
2週間前からの健康状態の報告とPCR検査の実施
飯田)今年(2022年)3月の東京マラソンは開催されました。コロナ禍での開催ということになりましたが、どのような対策を取られたのでしょうか?
新井)コロナ禍の場合には、通常の大規模イベントの救急医療に加えて、感染症対策をしなければなりません。感染症対策に関しては、昨年(2021年)からいろいろと検討を重ねてきました。1つは健康状態を報告していただくことです。参加するランナーの方に健康管理アプリをダウンロードしていただき、2週間前から毎日の健康状態を報告していただきました。
飯田)2週間前から。
新井)また、PCR検査の実施です。参加ランナーが約2万人いらしたのですが、その方に参加前、3日間の間にPCR検査を受けていただきました。
PCR検査の結果、0.05%が陽性
飯田)2万人規模でPCR検査を行って、陽性の人はどのくらいいらっしゃったのですか?
新井)元気なランナーの方ですから無症状ですし、まったくいないかなと思ったのですが、検査したところ、約0.05%の陽性の方がいらっしゃいました。もちろん、その方々には今回は参加を見合わせていただきました。
今後は対策をした上で開催する方向に
飯田)コロナ禍の初期はあらゆるイベントが中止になりましたが、今後はこのように工夫しながら行う方向になりそうですか?
新井)そうですね。開催するまでは心配しましたが、準備して無事に開催できましたので、「成功した」と言ってよろしいのではないでしょうか。
テロ対策も
飯田)これだけ大規模なイベントだと、テロなどの懸念も考えられますが、テロへの備えも頭のなかに入れておかなくてはならないのですか?
新井)2021年の東京オリンピックもそうでしたけれども、東京マラソンは世の中の注目度が高いイベントです。そういうイベントはテロリストのターゲットになりやすいので、テロ対策、また起きてしまった場合の救急医療も大事になります。
飯田)やはり2013年のボストンマラソンで起きた、テロ事件の記憶がありますものね。
新井)そうですね。
飯田)あのような事例も研究するのですか?
新井)起きた場合はどうするか、そのときの受け入れ病院はどうするかというような対策をします。
飯田)しかも、使わなければそれに越したことはないという準備ですよね。
新井)そうですね。
小児のコロナ患者の入院を受け入れている河北総合病院
飯田)新井先生がいらっしゃる河北総合病院のコロナ診療は、現在、どのようなことをなさっているのでしょうか?
新井)河北総合病院では、コロナ診療に対しては、発熱外来でいらっしゃった患者さんの検査、入院。それから患者さんがホテル療養しているホテルへ、スタッフを派遣しています。あとはワクチン接種会場へのスタッフの派遣です。いろいろな面でコロナ診療に関わっています。
飯田)なるほど。
新井)入院に関しては、小児のコロナ患者も受け入れています。小児を受け入れている東京都の病院は10ヵ所くらいなのですが、そのなかの貴重な1つの病院になります。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます