水害時に身を守るためには

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東京都医師会理事で河北総合病院・理事長補佐、心臓血管外科医の新井悟氏が5月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。水害時の災害医療について解説した。

水害時に身を守るためには

※画像はイメージです

事前情報から「防災行動計画(タイムライン)」を立てる

飯田浩司アナウンサー)水害時の災害医療について伺います。昔と違い、最近は事前に情報が出ますが、医療に関しても時間軸は意識しますか?

新井)地震と違って、水害はある程度予測がつきやすいところがあります。予想から「防災行動計画」……「タイムライン」と呼んでいますが、「3日後に台風が上陸する」「今週末に大雨が降る可能性がある」と、あらかじめ避難準備行動ができるわけです。

飯田)避難準備のなかでは、どのような準備や配慮が必要なのですか?

新井)ご自分だけで避難できない高齢者の方や障害者の方を「避難行動要支援者」と呼んでいますが、そういう方たちを避難させる計画が大切です。

飯田)「避難行動要支援者」の方々へのアプローチには、どのようなものがありますか?

新井)まず、どこにどういう方がいらっしゃるかを把握することが大事です。市区町村が名簿をつくり、あらかじめどこにいらっしゃるかを把握して準備します。これも災害医療の計画の1つです。

水害時に身を守るためには

新井悟氏、飯田浩司アナウンサー

荒川が決壊すると、そのほとんどが浸水する江東5区

飯田)いろいろな地域でハザードマップが出ていますが、具体的にどのような場所に危険があるか教えていただけますか?

新井)東京都の場合は江東5区です。具体的には墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区になります。江東5区は、荒川が決壊した場合に大規模な水害が発生し、ほとんどの地域は浸水してしまうことが想定されるため、非常に危険です。江東5区のなかでは、既に広域避難が計画されています。

飯田)江戸川区のハザードマップには、「ここにいてはダメです」という言葉が表紙に書かれていて、反響を呼びました。広くレンジを取って避難することが大事ですか?

新井)大規模な水害が起きた場合は江東5区のほとんどが浸水して、2週間くらい水が引かない可能性もあると言われています。そうなると、そこで生活することはできなくなりますので、生命を守るためには、この地域の外に避難しなければなりません。

「外水氾濫」と「内水氾濫」

飯田)水害ということでは、江東5区がまず思いつくところですが、リスクは他の場所にもありますか?

新井)「どこでも起こり得る」ということを考えておかなければなりません。水害には「外水氾濫」と「内水氾濫」があります。内水氾濫は、堤防は決壊していないけれど、下水道が逆流して起こる水害です。何年か前に世田谷区で内水氾濫による水害が起きました。多摩川の武蔵小杉でも水害が起きましたが、これも内水氾濫でした。

飯田)処理しきれない量の雨水が下水道へ流れ込んだときに逆流するのですね。よくマンホールから水が溢れている映像を見ますね。

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