子どもにも新型コロナの後遺症はあるのか
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月13日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。学校と新型コロナウイルスについて語った。
発生件数が減少してきた学校での子どもの新型コロナ感染症
飯田浩司アナウンサー)現在、小学校における新型コロナウイルスの感染状況はどうなっているのでしょうか?
川上)まだゼロにはなっていませんが、学校での子どもの発症は減りました。
飯田)新型コロナは風邪と同じ扱いでいいのではないか、あるいはインフルエンザ並みの扱いでもいいのではないかというような議論がありますが、現場でご覧になっていていかがですか?
川上)子どもたちの感染後の症状を診ていますと、多くはそれでいいと思います。先日の東京都医師会の記者会見でも、そろそろ5類相当でいいのではないかという提案がなされました。
風邪に近い症状の新型コロナ感染症 ~それでも15人の子どもが亡くなる怖い病気
飯田)改めて、子どもの症状について伺いたいのですが、かつてに比べると、その部分もわかってきたのでしょうか?
川上)だいぶわかってきました。多くの子どもは、1日~3日程度の発熱があり、その後、しつこい咳が続くかなという形で、先ほどおっしゃったような「ほとんど風邪ですよね」という感じで終わっています。ただ、最近、日本小児科学会がまとめたデータによると、日本で15人ほどのお子さんが亡くなっています。この15人を多いととるか、少ないととるかは微妙なところですが、私たち小児科医からみれば、15人亡くなる病気は、やはり適当にはできない病気だなと思います。
飯田)風邪と同じだと思ったら、「甘すぎるぞ」ということですか?
川上)そうですね。
子どもが新型コロナに罹った場合、解熱剤や鎮咳去痰剤で治療するしかない
飯田)命のリスクも頭に入れながら、対応していかなければならないということですね。症状が出た場合は、どのように治療するのでしょうか?
川上)高齢者やハイリスクの方に対しては、抗体療法や抗ウイルス薬が出てきましたが、子どもに対しては、基本的に使える薬はありません。発熱に対しては解熱剤を処方する。咳が出たり痰がからんだら、鎮咳去痰剤を使うというような対応しかないのです。
飯田)症状に合わせて叩いていくしかない。
子どもの新型コロナの後遺症
飯田)後遺症などはいかがですか?
川上)後遺症に関しては、まだデータが充分揃っていません。私たち小児科医が仲間内で話していると、多くの子どもは何も残さないですが、だるくて動けない、風邪をひきやすくなった。また、宿題をしたはずなのに「あ、宿題やらなきゃ」と、やったことを忘れてしまうお子さんの話はよく聞きます。
血管の炎症である新型コロナウイルス感染症
飯田)新型コロナというと、肺炎のイメージがありますが、その辺りの病態もわかってきたのですか?
川上)新型コロナは「肺だけがやられるわけではない」ということが以前からわかっていまして、基本は血管の炎症です。全身どこの臓器でも、血管の炎症を起こせば、それなりのダメージを受けるということがわかってきています。
飯田)コロナ流行の初期に、CTを撮ると、すりガラス状の肺が見えると言われていましたが、それは肺自体が炎症を起こしているわけではなかったということでしょうか?
川上)そうですね。肺を養っている血管に炎症が起きているのです。ですから、肺炎のあとのようには回復してこないということがあり、回復までには時間が掛かっています。
飯田)後遺症といっても、血管炎の後遺症が出ているということですか?
川上)そうだと思います。
番組情報
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます