東京都医師会会長・尾﨑治夫 新型コロナ「5類相当」へ分類引き下げ提案の「真意」を語る

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が7月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。6月14日の記者会見で提案した「新型コロナの“2類相当”の見直し」について語った。

東京都医師会会長・尾﨑治夫 新型コロナ「5類相当」へ分類引き下げ提案の「真意」を語る

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

「5類相当」へ新型コロナの分類引き下げ提案の真意

飯田浩司アナウンサー)東京都医師会が先月(6月)、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを2類相当から5類相当に引き下げる案を出しました。新聞報道などでは「2類から5類へ、東京都医師会が提案」というような見出しが立ちましたが、どのような経緯があったのでしょうか?

尾﨑)新型コロナウイルスは、いま「2類相当」の扱いとなっていますが、亡くなられる方も、当初は5%くらいいたものが、いまは0.29%くらいになっています。オミクロン株になって軽症例が増え、重症化率が減少していますので、そろそろいまの体系を見直してもいいのではないかということです。

飯田)重症化リスクも減って。

尾﨑)インフルエンザは5類感染症ですが、そのようにした方がいいという議論が多くあります。ただ、私どもは、いきなり「インフルエンザと同じ5類にする」ということを述べたわけではありません。5類に近いような新しい分類でもいいので、現実に即した形がいいのではないかという提案をしたつもりです。

感染力が強く、致死率が高いものが「1類」 ~感染力は高いが致死率が高くないインフルエンザは「5類」

飯田)感染症法上の分類ですが、1類~5類まで、さまざまな病気が分類されているわけですよね。

尾﨑)一般的に、危険なウイルスは感染すると亡くなる可能性が高いので、あまり拡がっていかないのです。インフルエンザのように、感染力が強いけれどもそれほど死亡率が高くない場合には、まん延しても亡くなられる方は少ない。感染力が強く、致死率が高いものが「1類」になるのです。

1年~2年で見直すことになっている指定感染症

飯田)事前に段階を決めていますが、今回の新型コロナのように何かわからないものが入ってきたときには、また別の枠組みがあるのでしょうか?

尾﨑)新型コロナの場合は、どういうものなのかが明確にわからなかったので、とりあえず指定感染症という形になりました。1類~3類の間くらいの「危険なウイルスかも知れない」ということで、既存の分類のなかでは2類くらいに相当するものではないかと、「指定感染症2類相当」になっているのです。

飯田)「2類」ではなく「2類相当」ということですが、ここが違うのですか?

尾﨑)そうです。指定感染症は、「1年あるいは延長しても2年くらいで見直す」とされています。そういう意味では、そろそろ検討する時期なのではないかということで、提案させていただいたわけです。

実質的には「2類相当」の扱いではなくなっている新型コロナウイルス

飯田)いまはほぼ2類の2類相当ということですが、法律上、「患者さんが出た場合にはどうするか」ということなども、すべて決めているのですか?

尾﨑)2類の場合は感染が判明したら、原則として隔離、入院していただくことになっています。第1波のころは、それを守っていました。軽症であろうが、PCR検査で陽性になった方はすべて入院させたわけです。

飯田)そうでした。

尾﨑)ただ、オミクロン株のときは、感染者が急増してしまい、すべての方を入院させることが難しくなりました。いまは自宅療養、自宅待機の人がほとんどというような状態になっていて、実質上は、2類の扱いから徐々に変わってきています。

飯田)「2類相当」と言いながら運用上、既に変わってきているところがあるのですね。

尾﨑)そろそろ現状に即して、どうするべきかという議論をしていただけないかということで、あのような記者会見での提案になったわけです。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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