「全数調査」が行えていない現状 「定点調査」が適しているのでは ~東京都医師会副会長・猪口正孝

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東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が8月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナの感染症法上の扱いについて解説した。

「全数調査」が行えていない現状 「定点調査」が適しているのでは ~東京都医師会副会長・猪口正孝

※画像はイメージです

現状では「全数調査」が行えていない ~「検査を受けていない無症状の陽性者」が通常の生活をしている可能性も

飯田浩司アナウンサー)新型コロナ「第7波」について詳しく伺います。感染症法上の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類相当」に直してはどうかと、以前から議論が出ておりましたが、先生はどのようにお考えですか?

猪口)現在は2類相当ということで、全数調査を行っています。ここが最も負荷の掛かるところなのです。全数調査を行っていますが、PCR等の検査陽性率が50%を超えてきています。これは症状がある人たちが来て検査するから50%近くになっているのだと思います。しかし、症状のない人たちは、検査しようと思っても電話もつながらないので、「ではいいか、様子を見よう」と言って、症状のないような陽性者の方たちが検査せず、普通に生活している可能性が十分あります。

「定点調査」で全体像を統計学的に導き出す方が現状には合っている

猪口)全数調査と言いながら、ここまで感染が拡大してきてしまうと、本当の全数調査にはなっていないのです。初期の感染者数が少ないときには抑え込む、また病気そのものを知る意味においても全数調査をして、新型コロナウイルスと戦う作戦を考えることは大事だったと思います。

飯田)初期のころは。

猪口)しかし、いまとなっては、全数調査の目的そのものが果たせない状況になっていると思いますので、この部分は定点調査という、いくつかの定点でどのくらいの方たちが来たのか、その方たちを徹底的に調べるような形にする。そして全体像を統計学的に導き出すというような方法の方が、いまの事態には合っているかも知れません。

「全数調査」が行えていない現状 「定点調査」が適しているのでは ~東京都医師会副会長・猪口正孝

猪口正孝氏、飯田浩司アナウンサー

「5類相当」に変更することで変わる費用や生活支援をどうするか

猪口)ただ、2類から5類になると、費用や生活支援の面で大きく変わってきます。どのように国民の方たちに不便がないようにするかを考えるのも大事だと思います。

飯田)5類相当となると。

猪口)また、この段階で2類から5類に落としてしまったときに、このあと第8波、第9波が起きた場合、それに対応するのも確かに問題なのかも知れません。そのときはどうするのかを考えておくのも大事なことかも知れません。

高齢者への医療的ケアの負担をどう軽くするか

飯田)個人的な話ですが、我が家では家族3人が感染して、結局、お医者さんに行ったのは1回だけでした。あとはすべてオンラインでしたが、薬も届けていただき、十分に対応できました。人によるところがもちろんあるのかも知れませんが、仕組みとして、社会全体として、「戦う体制はかなりできているのだな」と個人的には思いました。

猪口)模範的な患者さんで本当にありがたいのですが、そういうツールをしっかりと使っていただけるように、我々も使い勝手のいいものにしていく努力が必要です。

飯田)使いやすく。

猪口)一方で、60代以上の方たちは感染すると重症化しやすいものですから、医療的ケアの負荷が高くなります。第8波以降に関しては、いろいろなものを使いながら、医療に負荷が掛からないようにやっていければいいなと思います。

軽症の若い人は市販薬でも対応できる

飯田)軽症であれば市販薬で対応できるということは、政府も含めてもう少し広めてもいいのかも知れません。

猪口)やはり重症者を見逃してはいけないので、慎重になるのです。慎重になるのですが、もともとウイルスというのは、そう簡単に特効薬が用意できるわけではありません。対症療法的ではありますが、多くの若い方たちには市販薬が十分効くと思います。

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