インドがロシアの「ボストーク2022」に参加する理由

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地政学・戦略学者の奥山真司が9月6日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。ロシアの戦略的軍事演習「ボストーク2022」について解説した。

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット) 日米印首脳会談に臨む、インドのモディ首相=2019年6月28日午前、大阪市住之江区 写真提供:産経新聞社

4年前の演習と比べ10分の1の規模の「ボストーク2022」

ロシアが極東各地で実施中の戦略的軍事演習「ボストーク(東方)2022」で中国との結束を誇示し、日米を牽制(けんせい)している。9月6日にはプーチン大統領が視察するが、演習に参加する総兵力数は前回2018年の30万人から大幅減の約5万人。

新行)ロシア軍は7日までの予定で、極東での大規模軍事演習を行っています。まず「ボストーク」とは何かというところから教えていただけますでしょうか?

奧山)4年に1回行われている軍事演習です。軍事演習は部隊の訓練として、1800年代初期にドイツのプロイセンが始めました。どの国の軍隊も行っていますが、今回の「ボストーク2022」は明らかにウクライナでの戦争の影響が出ていると断言していいと思います。

新行)ウクライナでの戦争の影響。

奥山)ロシア国防省によると、今回の演習には140機の軍用機と5000以上の軍事兵器が投入され、参加する兵員は約5万人だと言われています。4年前(2018年)の演習では約30万人でしたが、今回は5万人規模となった。2018年は軍用機を1000機出しているので、ほぼ10分の1の規模に縮小したということです。

ほとんどの兵力をウクライナへ投入しているロシア

奧山)戦車なども3万6000両が投入されていたのですが、今回は5000程度だということです。現在ボストークが行われている地域、東部軍管区の部隊の70%~80%が、ほぼウクライナに行っているのです。

新行)ウクライナに。

奥山)ロシアは今回、公式には5万人の兵員を投入すると言っているのですが、イギリスのシンクタンクなどで軍事を専門に見ている人たちは、「5万人を投入するのは不可能ではないか」と言っています。大体1万~1万5000人ではないかということです。

新行)実際には。

奥山)それだけの戦力がウクライナに行っているのだとわかります。軍事演習は基本的に、公開されている部分で部隊を動かすことになります。実働している部隊は衛星などで見ることができる。そういう意味では、戦力が明らかになりやすい状況ではあります。

インドがボストークに参加する理由

奥山)今回のボストークには14ヵ国が参加していますが、インドが入っていることを見逃してはいけないと思います。我々はインドとはクアッドの枠組みにおいて、「インド太平洋戦略」のなかでこちら側に引き込まないといけないのですが、インド自身は未だにロシアからも燃料を買っていますし、軍備はロシア製のものが多いのです。「ロシアとの関係を維持したい」という意図があるのでしょう。

新行)ロシアとの関係を維持したい。

奥山)彼らの敵は中国なのでクアッドには協力するけれども、ロシアとは敵対したくないということで、ボストークに参加しているという事情があります。彼らも自分自身の足で立ち、独自に外交をやりたいということです。

軍事演習の研究は始まったばかり

奥山)軍事演習の研究は、実は始まったばかりなのです。

新行)そうなのですね。

奥山)以前からどの国も軍事演習を活発に行っていますが、「軍事演習とはどういうものなのか」ということを研究した人はあまりいないのです。西洋の戦略学の世界でも、研究が始まったのは2015年くらいからで、つい最近なのです。

新行)2015年くらいから。

奥山)「訓練・抑止・戦争の準備」という3つの目的があるのですが、どの国も軍事演習を行うときはもちろん、訓練が頭のなかにあります。しかし、例えば「相手に対するメッセージ」などは勢いで決めていることが多いのです。

新行)勢いで。

奥山)「今回の軍事演習はこんなことをやりましょう」という話になると、「それは相手国に対するメッセージとしてよさそうだからやってみようか」というような感じで、参加が決められているようです。

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