互いに補い合い、一緒に歩んできた安倍元総理と菅前総理
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数量政策学者の高橋洋一が9月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。9月27日に行われた安倍元総理の国葬儀について解説した。
安倍元総理の「国葬儀」執り行われる
安倍晋三元総理大臣の国葬儀が9月27日午後2時過ぎから東京・日本武道館で行われ、午後6時過ぎに終了した。葬儀には国内の政財界などの関係者約3600人に加え、218の国や地域・国際機関などから約700人、合わせて約4300人が参列した。
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菅義偉前総理)あの運命の日から80日が経ってしまいました。天はなぜ、よりにもよって、このような悲劇を現実にし、命を失ってはならない人から生命を召し上げてしまったのか。悔しくてなりません。総理大臣官邸で共に過ごし、あらゆる苦楽を共にした7年8ヵ月。私は本当に幸せでした。何度でも申し上げます。安倍総理、あなたは我が国、日本にとっての真のリーダーでした。
「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」
深い悲しみと寂しさを覚えます。総理、本当にありがとうございました。どうか安らかにお休みください。
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菅前総理らしい、心のこもった弔辞 ~「趣味・安倍晋三」と言っていた菅氏
飯田)友人代表として、菅義偉前内閣総理大臣が追悼の辞を読み上げられました。
高橋)菅さんらしい、心のこもったお話でした。私はたまたま安倍さんと菅さんの両方にお仕えしていたので、両者の関係はよく知っていますが、菅さんは安倍さんに憧れていたのではないでしょうか。
飯田)憧れていた。
高橋)「趣味・安倍晋三」と言っていた時期がありましたし、安倍さんから見ても、菅さんのことが羨ましかったのではないかと思います。そのような感じがしました。
飯田)そうですか。
政治家の家系に生まれた安倍氏と叩き上げの菅氏
高橋)両者とも違うのです。安倍さんは政治家の家系に生まれて、最初から政治家のプリンスのような人でしょう。菅さんは叩き上げです。自分の息子さんを最初は秘書官にしたのですが、「政治家にはしない」と言って辞めさせました。ある意味で、菅さんは自由に発言できるのです。
飯田)家系のしがらみのようなものは……。
高橋)菅さんにはまったくありません。両者は自分にないところを、お互いに補っていたのではないでしょうか。
お互いによく電話をかけ合う仲
高橋)私が菅さんと一緒にいたときも、安倍さんからの電話がとても多かったですし、安倍さんと一緒にいるときも菅さんからの電話が多かったです。
飯田)安倍政権のときは総理官邸のなかで必ず茶話会があったと。毎日、ランチのあとにコーヒーを飲みながら雑談していたそうですが、対面での意思疎通だけではなく、電話も頻繁にあったのですね。
高橋)安倍さんが外遊に行くと、外遊先に着く前、飛行機にいる時点から電話がかかっていました。
飯田)機内からでも。
高橋)菅さんもよく電話をかけていました。
飯田)事務的な報告だけではなく、いろいろなことを。
高橋)事務的なこともあったと思いますが、それ以外もあったような気がします。ですから、昨日(27日)の菅さんによる友人代表としての弔辞にあったような感じでした。友人というよりは両者が補い合いながら、一緒に歩んでいたというような印象です。
安倍元総理には1回だけ言える ~「ここは違いますよ」と一度は忠告した菅氏
飯田)追悼の辞のなかにもありましたが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の話など、タイミングにおいて少し齟齬もあったと。
高橋)方向は似ているのですが、違うのです。菅さんはよく「総理には1回だけ言えるよ」と言っていました。1回だけ言えるけれど、「2回は言えないよ」と。
飯田)「総理、ここは違いますよ」と。
高橋)1回だけ「こうだ」と言って、それで終わるのでしょうね。
飯田)よく内閣総理大臣は孤独なのだという話や、仕組み上は「何でも決めることができる」と言います。総理が「こう」と決めたとなると、かなり強いメッセージになります。しかし、1回であればそこに修正をかけられる。
高橋)菅さんの意見を聞いて修正することもあったでしょう。
飯田)それを受け入れるときもあったのだろうし。
高橋)どちらもあったのだろうと思います。
さまざまな人に話を聞いて咀嚼し、意思決定していた安倍元総理
飯田)安倍元総理はたくさんの人に電話していたということですが。
高橋)たくさん電話していたという話は聞いています。
飯田)高橋さんのところにもかかってきましたか?
高橋)私のところには問い合わせだけでした。「このように言っているけれど、どういうことなの?」という感じの電話でした。
飯田)専門である経済の話などですか?
高橋)専門の経済の話や、安全保障の話もありました。私は経済だけではなく、数量的に考えた戦争の話をするので。
飯田)いろいろな人に話を聞いて意思決定を行うと。
高橋)自分で咀嚼して、という感じでした。
飯田)自分の腹に一度落とす。台本があるとしても、一度、腹に入れて理解した上で行動するということですか?
高橋)安倍さんはほとんど入っていたのではないでしょうか。
飯田)実は台本がなくても同じように……。
高橋)話せる。総理になる人はみんなそういうことが身についています。安倍さんは国会答弁などでも台本を持たずに話していました。
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