キャスターの辛坊治郎が10月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。神戸市須磨区で1997年に発生した連続児童殺傷事件で、当時14歳で逮捕された加害男性の全事件記録について、神戸家裁が廃棄していたことについて、「よほどの意思が働かなければ、あり得ない」と持論を展開した。
神戸市須磨区で1997年、小学生5人が襲われ2人が殺害された連続児童殺傷事件で、14歳で逮捕され少年審判を受けた少年Aの全ての事件記録を神戸家裁が廃棄していたことが分かった。神戸家裁は「運用は適切ではなかった」とする一方、「経緯や廃棄時期は不明」としている。
辛坊)この事件を鮮明に覚えている人はいるでしょう。犯罪手法の猟奇性に加え、逮捕者が14歳の少年だったことから、社会的に衝撃が大きかった事件です。私も事件現場で取材したことがあるので鮮明に覚えており、今も現場の光景が浮かんできます。
今回の報道によると、少年Aの事件記録を裁判所が全て廃棄していたということです。一般的に事件記録の保存義務というのは基本的に20年です。ということは、1997年に起きた事件の場合、2017年前後に期限がきて廃棄されるのは当然かもしれません。廃棄しないと、別の事件記録が次々にたまっていってしまいますからね。
しかし、最高裁は少年事件記録の保存をめぐるルールについて、通達を出しています。この通達を要約しますと、世相を反映した事件で資料的な価値が高いもの、全国的に社会の耳目を集めた事件、当該地方において特殊な意義を有する事件で特に重要なものについては、特別保存に該当すると規定しているのです。神戸連続児童殺傷事件は、間違いなく特別保存に該当する事件ですよ。私はメディアの仕事に40年ほど携わってきましたが、この事件は印象に残るという意味で筆頭格に属します。
社会に大きな衝撃を与えたこの事件については、事件が起きた背景や要因、少年Aの当時の心理状態、当時の取り調べ状況など、後世に伝えるべきことはたくさんあったはずです。それにもかかわらず、記録が一切なくなったわけです。どう考えても、よほどの意思が働かなければ、あり得ないです。この事件は、社会の耳目を集めなかった事件と違い、資料の量が膨大です。かなり意識して捨てると決めない限り、そうした膨大な量の資料が廃棄されるはずがないです。たまたま誤って廃棄してしまったなんてことは、あり得ません。
では、誰の意思が働き、誰が命じて廃棄したのか-。少なくても現時点では表に出てきていません。役人は基本的に間違いを認めませんし、過去にさかのぼって誰の責任かについて名前を出すような先例は基本的にありません。しかし、今回のケースがそうしたことの突破口になるかもしれないという気がしますね。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)