キャスターの辛坊治郎が10月26日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。政府が家計の負担軽減策として総額4万5000円を支援する方針であることについて、「ツケを払わされるのは結局、国民。日本人は賢くなるべきだ」と指摘した。
政府が10月末に取りまとめる総合経済対策案が明らかになった。2023年1月から同年前半にかけて1世帯当たりの電気、ガス、ガソリン代などの負担軽減を総額4万5000円程度と見込んでいる。
辛坊)政府がどのように経済対策をするかというと、大量に国債を発行して、つまり政府が借金して、そのお金をばらまくんです。ただ、政府のやり方であまりうまくないと思うのは、例えばガソリン代です。ガソリン代は今、ものすごい額の補助金で安くなっています。実際の価格だとしたら、かなり上がっていたはずです。日本のガソリン価格は全世界の中で異様に安いんですよ。一般の人は「それはいいことだ」と受け止めるだろうと思います。確かに、価格が安いこと自体はいいです。
しかし、誰の負担でガソリン価格が下がっているかということを、よく考えてみてください。借金は必ず返さなければなりません。では、どのようにして返すかというと、方法は2つあります。政府の実質的な回収方法の1つは増税、もう1つは物価を上げることです。今、この両方が起きています。増税では過去10年間に消費税が2回上がり、物価もどんどん上がっています。ですから、過去にたくさんばらまいたお金のツケは結局、全て国民が払わされているという状況です。
ガソリン元売りには補助金が出ています。それで、一律に価格が下がっているわけです。つまり、金持ちも貧乏人も同じように受益しているということです。例えば、「ガソリン価格が多少上がっても大丈夫」と言って、フェラーリやランボルギーニなどの高級スポーツカーに乗っているような富裕層も、補助金の恩恵を受けていることになります。「それって不公平じゃないの」という考え方はありますよね。
また、全世界的にガソリン価格が上がってくると、「省エネの車に乗ろう」「車の燃費を向上させよう」という考え方が広まります。どうしたらエネルギーを節約しながら生きられるかを考えるようになります。そこにイノベーションが生まれ、次世代へと進んでいくわけです。
ところが、ガソリン元売りに補助金をばらまいて、金持ちも貧乏人も全員が一律に自分の借金で返済するようなことをしていると、イノベーションは止まってしまいます。そうすると、何年かたって気づいてみたら、世界はものすごく省エネが進んで燃料費が高くなっても生活できるような構造改革が起きている一方で、日本だけはイノベーションが遅れていたという事態になっている恐れだってあります。
ですから、日本人は「政府がガソリン価格を下げることはいいことだ」という感覚なのかもしれませんが、近く公表される総合経済対策案も含め、「長い目で見て、本当にそうなのか」と賢くなるべきだと思いますよ。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)