サイバー防御にもつながる問題 東京高裁と地裁に爆破予告
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月14日にあった霞が関の合同庁舎への爆破予告について解説した。
東京高裁と地裁に爆破予告 ~動機は何なのか
東京高裁によると、霞が関にある東京高裁や地裁などが入る裁判所合同庁舎を、11月14日午後1時半ごろに爆破するとの予告があった。安全を確保するため、庁舎内にいた一般の人を外に避難させる対応を取った上、正午から午後2時までの間、裁判所の建物への立ち入りを禁止した。また、東京高裁と東京地裁は午後1時から午後2時29分の間、予定されていたすべての裁判を取り消した。警視庁によると、現場から不審物は見つかっていないとのこと。また、11月10日にも裁判所合同庁舎の隣の弁護士会館に爆破予告があり、臨時閉館となった。
飯田)最近、爆破予告のようなものが相次いでいます。東京消防庁に届いたメールには、「テロを起こすしかない」というような記載があったそうです。
クラフト)アメリカでは、このような類の予告はかなりあるのですが、特定の裁判や訴訟に反対するもの、あるいは妨害しようという意図のものがほとんどです。今回の予告は東京高裁全般に行われたものなので、動機がよくわかりません。
飯田)そうですね。
クラフト)一連の旧統一教会問題に対するものなのか、インフレなどの社会情勢への不満なのか……。もしくは愉快犯なのか。不思議ですね。
「何もなかったからよかった」では済まされない
飯田)こういったことがあると、当然ながら(仕事を)止めて、まず確認しなくてはならないですものね。
クラフト)昨日(14日)1日ぶんの裁判が全部延期になってしまいましたから、被害も大きいので、本当に困ったことではあります。
飯田)267件の裁判期日が取り消しになったということです。「不審物も見つかっていないし、何もなかったからよかった」では済まされないですよね。
クラフト)安倍元総理の事件も含めて、治安のいい日本でも、こういった類の事件が多くなったような気がします。
同様の犯行を阻止するためにも今後の捜査が重要
飯田)メールで脅迫文が届いたということですが、そこから辿ることができるのかどうか。その辺りは、サイバー防衛などへもつながっていきますね。
クラフト)犯人を捕まえることによって、同様の犯行への抑止になりますから、捜査が重要だと思います。
サイバー防御にもつながる問題
飯田)サイバー部分の捜査や、事前の探知をどうするかというところに関して、今年(2022年)改定される国家安全保障戦略にも盛り込むかどうかという話にもなっています。
クラフト)政府の防衛戦略のなかで、1つの大きな柱がサイバーです。軍事レベルのサイバーと民間、社会インフラのDX(デジタルトランスフォーメーション)と言いつつも、日本のサイバーセキュリティの水準は欧米に比べると低いので、レベルアップしなくてはいけません。
飯田)少年時代にハッカーだった人たちなどをリクルートして、ホワイトハッカーというのでしょうか、正義のために戦ってもらうと。アメリカなどにはそのような仕組みがあるのですか?
クラフト)アメリカの連邦捜査局(FBI)には、サイバー犯罪を犯した者に対して、起訴しない代わりにFBIのために働かせるというバーター的な取り引きがあります。そういう技術を取得して犯罪防止を行うようなことも考えられます。
飯田)なるほど。
クラフト)日本で法律的にそれができるかどうかは別として、そういうこともしないと、なかなかイタチごっこには勝てないと思います。
全般的にサイバー技術を向上させなければならない
飯田)高い技術を持った人たちを雇うとなると当然、お金が掛かる。日本の規定ではお金が払えないから、パートタイムで雇わざるを得なくなるという話も出てきています。
クラフト)大学でも、サイバーセキュリティの講座はいくつあるのでしょうか。全般的にサイバー技術を向上させなければなりません。今回、予算を取るので、少しは対応が期待できると思うのですが。
飯田)プログラミング技術などから始まり、ある意味、軍の部分と民の部分が混ざっているような分野ですよね。
クラフト)いずれにせよ重要です。防衛費が取り沙汰されていますが、防衛費の増強が必ずしもミサイルだけにつぎ込まれているわけではなく、サイバー関連や宇宙技術などの部分にも向けられるということは認識しておく必要があります。
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