東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が12月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。子どもの新型コロナワクチン接種について語った。
ワクチン接種によって後遺症の発生率も下げることができる ~子どもの新型コロナワクチン
飯田浩司アナウンサー)子どもに処方できる新型コロナの薬は、いまのところないということです。重症化などを避けるためには、ワクチンを接種することが大事ですか?
川上)ワクチン接種を行って感染しないように予防する。あるいは感染してしまっても、免疫を事前につけておくことで軽く済ませることができます。
飯田)ワクチンを接種することで。
川上)海外から入ってくる論文を読んでいると、子どもの後遺症の例も出ています。ワクチンを接種しておくことで、後遺症の発生率も下げられるのではないかという文献が出てきています。ワクチン接種は後遺症の予防にもなるのです。
小児の新型コロナワクチンの接種体制
飯田)現状、小児のワクチン接種体制はどうなっているのでしょうか?
川上)いま接種できるのは、生後6ヵ月~5歳未満のお子さんや、5歳~11歳のお子さん。そして、12歳以上は大人と同じワクチンを使うという、3種類になっています。子どもに使えるワクチンはファイザー社のものしかありません。
飯田)大人のワクチン接種は、だいたいの方が3回目接種まで終えているか、2回で止まっているという人が多いと思いますが、子どもの場合はどうですか?
川上)5歳~11歳のスタートが2月末からで、いまは3回目を行っている時期です。乳幼児の方は、10月24日から始まったところですので、初回を行っているという段階です。
7割の子どもはまだワクチン接種をしていない
新行市佳アナウンサー)現在の接種率はどのような状況ですか?
川上)5歳~11歳で2回目接種まで済んでいる方は、全国平均で28%前後というのが最新のデータです。
飯田)7割は1回も打っていない。
川上)まだ打っていないですね。
飯田)何か理由があるのでしょうか?
川上)子どもの場合、これまでは罹っても軽かったということが1つだと思います。それから、親御さん自身がワクチンを打って、熱が出たり腕が痛かったために、「子どもがそんな思いをするのは可哀想」という方が多いですね。
飯田)副反応の部分ですか。実際にお子さんが打って副反応は出るものですか?
川上)大人よりは少ない印象を受けますが、発熱はあります。脇の下のリンパ腺が少し腫れるというような報告もあります。
mRNAタイプのワクチンは心配しなくてもいい
飯田)親御さんのなかには副反応も含め、ワクチンを子どもに打つことに対して安全性を心配する方もいると思いますが、その辺りはいかがですか?
川上)安全性については、やはり長期的には大丈夫なのかということを聞かれます。これに関して、mRNAタイプのワクチンは、身体に入ってからの分解のされ方などを考えると、ほとんど心配しなくてもいいと思います。
飯田)ネット上でいろいろなことが書かれていますが。
川上)新型コロナワクチンに限らず、ワクチン接種で「0リスク」というものはありません。あくまでも罹った場合のリスクと、ワクチンを打って副反応が起きるリスクのどちらを取るかということです。
新型コロナワクチンを接種するなら「無料で接種できる」いま
飯田)ワクチンを打つタイミングですが、どういうタイミングがよいのでしょうか?
川上)厚労省の方針により、来年(2023年)3月で、全国民に対して無料で行っている接種体制が終わります。報道で流れているように「自己負担」という話も出てきていますから、そういう意味では「やろうかな、どうしようかな」と迷っている人は、「いまが接種するとき」です。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます