恒例「今年の漢字」は? 年の瀬にあたり

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「報道部畑中デスクの独り言」(第310回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、「今年の漢字」について---

【今年の漢字】「今年の漢字」に決まった「戦」を揮毫する清水寺の森清範貫主=2022年12月12日午後、京都市東山区 写真提供:産経新聞社

画像を見る(全6枚) 【今年の漢字】「今年の漢字」に決まった「戦」を揮毫する清水寺の森清範貫主=2022年12月12日午後、京都市東山区 写真提供:産経新聞社

今年(2022年)もいよいよ押し詰まってまいりました。1年の世相を表す「今年の漢字」が日本漢字能力検定協会から発表され、京都・清水寺で森清範貫主が書き上げました。

その文字は「戦」……協会によると、ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の相次ぐミサイル発射などで戦争を意識した年であったこと。円安・物価高・電力不足や感染症など、生活のなかで起きている身近な戦い。サッカー・ワールドカップや冬の北京オリンピックでの熱戦、野球界での記録への挑戦……「戦」に関心が集まる年だったのが理由です。

「戦」という字は、アメリカ中枢同時多発テロのあった2001年以来、21年ぶり、2度目となります。2位以下は「安」「楽」「高」「争」「命」「悲」「新」「変」「和」と続きました。「争」「悲」という戦争を連想させる文字が目立った一方で、「安」「楽」という前向きな一文字もありました。

2022年12月16日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202212/16kaiken.html)

2022年12月16日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202212/16kaiken.html)

政財界でも独自の「今年の漢字」が示されました。岸田文雄総理大臣は「進」を挙げました。「歴史を画するようなさまざまな課題に直面し、『新しい資本主義』やG7=主要7ヵ国の取り組みなど、ひとつひとつ進めていく1年だった」と振り返りました。

ただ、はたして「進んだ年」だったのか。「増税だけが進んだ」「前か後ろか、進む方向は示していない」……ネットを中心に厳しい声も聞こえてきます。

経団連・十倉雅和会長

経団連・十倉雅和会長

財界でも定例の記者会見で、「今年の漢字」を質問するのが恒例となりました。とは言え、最近は無理やりにお聞きするのも心苦しくなってきましたが……。

経済三団体、経団連の十倉雅和会長は「力」を挙げました。国際秩序では力による一方的な現状変更がまかり通った一方で、抑止力、反撃能力の議論もされたことを理由として挙げています。また、「科学の力で科学技術立国として乗り越えようとしている」「力による正義、正義を日本でも世界でも議論すべき」とも述べました。

経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「暁」を挙げました。遺憾の「憾」「撃」「驚」などを思いついたそうですが、いずれも画数が多く、書くのが大変ということで「暁」となったそうです。

森貫主のように“書”にするわけではないので、別にかまわないのですが、桜田流の気遣いと言うべきでしょうか? 「暁」の理由は「来年こうありたい、今年はその夜明け前」ということでした。

経済同友会・桜田謙悟代表幹事

経済同友会・桜田謙悟代表幹事

就任したばかりの日本商工会議所の小林健会頭は「“戦”でいいと思う」と、日本漢字能力検定協会の決定に“賛同”しました。ロシアのウクライナ侵攻という「戦」が起こったこと。目の前の障壁と戦うという意味も添えました。

「戦ったと思う、結構」と今年を振り返った上で、「もう一歩進んで、新しい自分たちになって収益を伸ばしていこうという姿勢に入りつつある」と語りました。小林会頭はこのような「テンプレ」的な質問は好きではないのかも知れません。

日商・小林健会頭

日商・小林健会頭

皆さまの今年1年の漢字は何だったでしょうか。私は「救」を挙げたいと思います。日本漢字能力検定協会のランキング上位20位には入っていませんが、「旧統一教会問題」に端を発した救済法案が国会で成立しました。

何よりもウクライナ侵攻で、多くのウクライナ国民が困窮しました。厳しい冬のなか、電力不足も指摘されています。「救われるべき」人々があふれています。地球全体に軋みが聞こえるなかで、多くの人が「救われるように」「救いの気持ちを持てるように」……来年(2023年)はそんな年になりますよう、思いを捧げながら、2022年の暮れを迎えようと思います。

最後に私事ではございますが、お知らせです。今年(2022年)2月、石原慎太郎さんが89歳で人生の幕を閉じました。その追悼コラムやお別れの会のもようは小欄でもお伝えしましたが、このほど、石原さんに関する書籍を上梓いたしました。『憎まれて死ぬか、愛されて死ぬか。政治家 石原慎太郎の日々』。稀代の人物に関わることができたそのご縁に感謝しながら執筆しました。われわれ記者との丁々発止のシーンがよみがえってくると思います。ブックマン社から発売中です。

また、12月30日(金)午後3時には、特別番組『憎まれて、愛されて・・・石原慎太郎が遺したもの』をニッポン放送で放送いたします。こちらもあわせてお聴きいただけますと幸いです。

本年も「報道部畑中デスクの独り言」をご覧いただき、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。(了)

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