「梅毒かな?」と思ったらどこへ行けばいいのか
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東京都医師会副会長で感染症担当、「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が1月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。梅毒感染拡大の原因について語った。
2022年の梅毒の感染者数が過去最多
新行市佳アナウンサー)2022年の梅毒の感染者数が過去最多になりましたけれども、理由は何でしょうか?
角田)梅毒の感染経路は性行為か性行為に類似した行為であり、しかも人から人にうつること以外考えられないのです。ですので、多様な性行為が近年広まってしまったのだと思います。新規の患者さんの調査を行うと、男女でそれぞれ、性風俗店に行った経験のある男性は約40%です。また、性風俗に従事していた女性が約40%なのです。
新行)男性・女性のそれぞれ40%は。
角田)残りの60%はそれ以外の人が罹っているわけです。最近は巷に感染者も増えているし、そういう行為が増えていると考えるべきだと思います。
「梅毒」を疑って検査しなければみつからない ~見落とされる場合が少なくない梅毒
新行)他に増加の原因はありますか?
角田)梅毒は非常に多彩な症状を示します。「これ」という典型的なものはないので、本人が(梅毒だと)疑わない傾向にある。あとは症状があって医療機関に行っても、梅毒を疑って検査しないとわからないのです。そういう面では、感染者が見落とされている可能性はあるかも知れません。
治っても再感染する梅毒
角田)もう1つは診断をつけたとしても、治療法が注射の場合と飲み薬の場合がありますが、検査しながら治療の長さや回数を決めているのです。そういったものをしっかり守らないと、完全に治らない病気でもあります。また、1回治ったとしても再感染するのです。
新行)そうなのですね。
角田)他のウイルス疾患は感染すると抗体ができるので、通常なら2回目は感染しないのですが、梅毒に関しては治ってもまた感染する可能性があります。1人が複数感染する可能性があるのです。
都内の保健所や検査室で匿名・無料で検査を受けられる
新行)検査を受ける場合、どこで検査してもらえるのでしょうか?
角田)医療機関でもできますが、現在は無料・匿名でできるところがあります。例えば「東京都新宿東口検査・相談室」では、平日の夕方~夜、また土・日曜日も開いており、電話で予約できます。HIV検査と梅毒検査の両方を行えます。しかも匿名で結果がもらえるのです。新宿以外にもありますから、「心配だな」と思ったら検査を受けた方がいいと思います。
初期の場合は泌尿器科または皮膚科へ ~病状が進んだ場合は内科へ
新行)医療機関は泌尿器科になるのですか?
角田)最初の症状は性器にできますから、泌尿器科ないしは皮膚科ですね。ただ、第2期になって熱が出たり、リンパ腺が腫れたりすると内科で対応する場合があります。
新行)内科の場合もある。
角田)感染する可能性が過去にあったかどうかが極めて重要です。話しづらいけれども、診断をつけるためには非常に重要な問診項目の1つです。
新行)それによって、どれくらい経過しているかがわかるのですものね。
角田)そうです。そして血液検査を行い、梅毒のときに上がる抗体価を調べます。それによって診断をつけることになります。
抗体価の下がり具合をみて病状を判断する
新行)梅毒は治る病気だということですが、何をもって治ったと判断するのですか?
角田)感染によって上がる抗体価をみながら、その下がり具合をみて治ったかどうかを判断します。
新行)治療を進めながら抗体が下がっているかどうかをみて、「ここまできたらもう大丈夫」というところまではしっかり薬を飲まなければいけないということですか?
角田)その通りです。それが極めて重要ですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます