「貧血」になる4つの原因

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東京都医師会広報委員で「宇野医院」院長の宇野真二氏が1月30日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。貧血について、またその原因について語った。

「貧血」になる4つの原因

※画像はイメージです

「貧血」は状態であって病気ではない ~赤血球やヘモグロビンの量が不足して組織に十分な酸素量を送れない

飯田浩司アナウンサー)今回は貧血についてお話を伺います。まず、貧血とはどんなものなのでしょうか?

宇野)貧血と言うと、「血が足りない」と考える人が多いと思うのですが、正しくは血液中の赤血球の数や、そのなかで酸素を運搬する役割を担うヘモグロビンという大事なタンパク質の量が不足してしまうのです。そうすると、血液が組織に十分な酸素量を送れなくなり、その状態を貧血と言います。「貧血」という病名ではないのです。

飯田)病気ではないのですね。

宇野)「そういう状態」と表現すればいいでしょうか。

各臓器に送る酸素量が足りずに酸欠になり、疲労、倦怠、めまいなどの症状が出る ~爪や舌が異常になる場合も

飯田)具体的な症状を教えてください。

宇野)ヘモグロビンの量が低下すると、酸素を送れなくなってしまいます。血液を通して赤血球、ヘモグロビンにより酸素は各臓器に送られるのですが、足りなくなると当然、臓器が酸欠状態になってしまいます。そうすると顔色が悪くなったり、動悸、息切れが起きることもあります。疲労、倦怠感、めまいなど、いろいろな症状が出てきます。

飯田)酸欠状態で。

宇野)状態が進行すると、呼吸困難や失神を起こします。貧血にもいろいろな種類があるのですが、爪がそりかえってしまう「スプーンネイル」の症状や、舌が萎縮してしまったり、痺れや歩行障害、また、黄疸になることもあります。

飯田)血液は体のなかで循環しているだけに、どこに出るかは人それぞれのところがあるのですか?

宇野)貧血の病態や原因にもよると思います。

「貧血」になる4つの原因

新行市佳アナウンサー、宇野真二氏、飯田浩司アナウンサー

「立ちくらみ」は血圧の低下が原因のことが多い ~貧血ではない

飯田)よく「朝礼のとき貧血で倒れてしまった」という話を聞くのですが、立ちくらみとは違うのですか?

宇野)貧血でも立ちくらみや失神は起こるのですが、朝礼で倒れるような場合は、どちらかと言うと血圧の調整が原因で、立ったときに血圧が下がって倒れてしまうというものです。

飯田)血圧の低下で。

宇野)「あいつ貧血で倒れたってよ」という話をするものですから、そう思われがちですが、そのような場合の貧血は血液学的には異常がないことが多いです。いわゆる貧血とは異なりますので、混同しないように注意が必要だと思います。

男性よりも女性に貧血が多い理由

新行市佳アナウンサー)貧血と言うと、男性よりも女性の方が多いイメージなのですが、実際はいかがですか?

宇野)貧血は女性、特に若い女性に多いと言われています。人間は体内に鉄を持っているのですが、女性の方が男性に比べると鉄を持っている量が少なく、女性は周期的な月経での出血もあります。また思春期になると、これから成長していく過程で鉄の需要も高まる。ある意味、男性よりも鉄の消費は激しくなるので、女性の方が貧血になりやすいということです。

飯田)男女差は、若いときの方が顕著に出るのですか?

宇野)男女差は若いときの方が多いと思います。

貧血になる4つの原因

飯田)その他に貧血が起こる原因は、どんなことが考えられますか?

宇野)大きく分けて4つあります。1つ目が、出血による貧血です。2つ目は、赤血球をつくる材料不足。鉄も赤血球をつくる材料なのですが、そういうものが不足した場合。3つ目として、骨髄には造血作用があるのですが、骨髄自体に病気があると貧血になります。4つ目は、赤血球が何らかの原因で壊れてしまうことがあり、それは「溶血」と言われています。大まかな原因はこの4つだと考えられています。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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