「うつ病」を判断するための「5つのチェックリスト」
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東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が1月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。うつ病の原因や治療方法について語った。
「うつ病」になると神経伝達物質のバランスが乱れる
新行市佳アナウンサー)うつ病について伺います。そもそも、なぜうつ病が起こるのか、その原因を教えていただけますか?
平川)原因は掴めきれていないのですが、いくつかの仮説やモデルがあります。現在、一般的に受け入れられているのは、脳の神経細胞間で情報をやりとりする神経伝達物質があります。有名なのはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどですが、(うつ病では)こういった神経伝達物質のバランスが乱れていることが最近わかっています。
新行)神経伝達物質が。
平川)実際にバランスの乱れを修正する薬で、うつ症状が改善しています。
うつ病になるきっかけ ~目標を達成したあとに発症する場合もある
新行)何がきっかけになるのでしょうか?
平川)慢性的なストレス状態に晒された結果、力尽きて発症する場合もあれば、学校や社内でのいじめや差別、受験や仕事での失敗、失恋や離婚、家族や親しい友人との死別など、悲しい出来事がきっかけになることが多いです。
新行)なるほど。
平川)その一方で、進学や就職、結婚、出産、栄転や昇進、家の新築など、世間的にいいこと、嬉しいとされることが起きた場合にも、それがきっかけで発症することがあります。
新行)燃え尽きてしまうということでしょうか?
平川)そういう場合が多いです。一生懸命頑張って、とことんやりつくして本来ならば「やった! 」となるはずが、その瞬間に奈落に落ちる感じになってしまうのですね。
新行)うつになりやすい性格はありますか?
平川)一概には言えませんが、生真面目で頑張り屋さん、完璧主義で自分に厳しい方。あるいは凝り性の方や、周囲に気を配る方の発症が多いと言われています。もちろんそのような方が全員、うつになるわけではありませんけれども。
「うつ病」の5つのチェックリスト
新行)自分ではうつになっていると気付かないこともあると思いますが、チェック方法はありますか?
平川)ネット上でもたくさんのリストが出ていますけれど、使いやすいのが次の5つの質問です。1つ目は「毎日の生活に充実感がない」。2つ目は「これまで楽しんでやれていたことが楽しくなくなった」。3つ目が「以前は楽にできたことが、いまでは億劫になってしまった」。4つ目は「自分が役に立つ人間だと思えない」。5つ目が「わけもなく疲れた感じがする」。この5項目のうち、2つ以上が2週間以上、あるいはほぼ毎日続いたという方。その結果、日常生活に支障をきたしている場合は、「うつ病」を疑ってください。
うつ病の治療
新行)うつ病になった場合、どのような治療をするのでしょうか?
平川)まずはしっかりとお話を聞きます。その上で、認知行動療法とも言いますが、多くの方はうつに陥りやすい思考パターンや行動パターンがありますので、そういった認知の歪みを少しずつ修正していく精神療法を行います。
新行)精神療法。
平川)精神療法と同時に、抗うつ薬等を使った薬物療法を行い、薬の力を借りて回復を目指します。
新行)陥りやすい考え方とは、どういう考え方なのでしょうか?
平川)どうしてもマイナス思考になりやすい。いくつかの経験から、「今度もきっと悪い結果になってしまう」と思い、切り替えがうまくいかないのです。
新行)その部分の考え方を修正していくのですね。
平川)本当にそうなる根拠があるのかどうかを尋ねると、根拠などないわけです。あるいはそういうことが本当に起こったとしても、大したことではありません。その思い込みすぎているところを少し修正するのです。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます