「鉄欠乏性貧血」と診断された場合、消化器系の病気の可能性も

By -  公開:  更新:

東京都医師会広報委員で「宇野医院」院長の宇野真二氏が2月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。鉄欠乏性貧血について、また鉄分の摂り方について語った。

「鉄欠乏性貧血」と診断された場合、消化器系の病気の可能性も

※画像はイメージです

鉄が不足すると「鉄欠乏性貧血」になり、息切れし、疲れやすくなる

飯田浩司アナウンサー)鉄分が不足すると貧血になりやすいということですが、メカニズムを教えてください。

宇野)貧血は、血液中のヘモグロビン不足で起きます。ヘモグロビンの材料は鉄なので、鉄が不足すると働きのよくない、小さくて色の薄い赤血球ができ上がり、酸欠状態になってしまうのです。これを「鉄欠乏性貧血」と言います。当然、働きが悪いので、酸素をうまく全身に運べなくなり、息切れや疲れやすさなどの症状が起きます。

消化器系の消化管出血などから貧血になる場合も

飯田)特に若い女性が貧血になりやすいということですが、男性や他の世代の女性の場合はいかがですか?

宇野)もちろん、鉄不足になるのは若い女性だけではありません。男性や閉経後の女性の鉄欠乏性貧血の原因として多くみられるのは、消化器系の消化管出血があります。女性であれば、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患があります。

飯田)消化器系の出血も。

宇野)消化管出血の原因としては、胃潰瘍や潰瘍性大腸炎、がんです。あとは大腸に憩室という部屋ができてしまって、そこから出血する場合もあります。胃炎などの炎症でも出血することがあります。

鉄欠乏性貧血で血便が出る場合には消化器内科へ、婦人科疾患がある場合は婦人科に相談する

宇野)痔で出血することもあります。鉄欠乏性貧血があって便が黒い、血便が出るという症状があった場合には、消化器内科に相談した方がいいと思いますし、婦人科疾患があった場合には婦人科に相談した方がいいと思います。

「鉄欠乏性貧血」と診断された場合、消化器系の病気の可能性も

新行市佳アナウンサー、宇野真二氏、飯田浩司アナウンサー

鉄分はどのように摂ればいいのか

新行市佳アナウンサー)よく「鉄を摂りなさい」と言われて、「レバーをたくさん食べなければ」と思った記憶がありますが、鉄分はどのように摂取したらいいのでしょうか?

宇野)鉄分は、肉や魚などの食べ物のなかに多く含まれていますので、そういうものを取り入れることです。

新行)肉や魚。

宇野)貝や野菜などにもある程度含まれているものがありますが、吸収はそれほどよくないかも知れません。

新行)そうなのですね。

宇野)鉄分を摂ることも大事ですが、基本的には、体に必要な栄養素をバランスよく摂ることです。タンパク質や糖、脂質、ミネラル、ビタミンを食事のなかに満遍なく摂ることが大事です。

飯田)満遍なく。

宇野)鉄分を摂るときに、ビタミンCを一緒に摂ると鉄の吸収がよくなると言われているので、肉料理をつくるときはビタミンCと一緒に調理するのも1つの手です。胃酸も鉄の吸収には不可欠ですので、リラックスしてゆっくり、よく噛んで食べるといいと言われています。

サプリはあくまでも補助として

宇野)逆にタンニン酸は鉄の吸収を悪くします。タンニン酸はお茶やコーヒーに含まれています。食事の前後はなるべく控えるという話もあるのですが、実際に鉄剤を飲んでいて、緑茶やコーヒーにより鉄分の効果が落ちたというエビデンスはないので、治療中でもお茶やコーヒーを飲んでも影響はありません。

新行)サプリで摂ってもいいのですか?

宇野)サプリは鉄剤に比べると鉄の含有量が圧倒的に少ないのです。ですので、鉄欠乏性貧血と診断された場合の治療としては不十分だと思いますが、貧血が軽く「食事で補ってください」と言われただけであれば、補助として利用する分には有効だと思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

Page top