カテーテルによって患者の負担が軽くなった「心臓の手術」

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東京都医師会監事で「さいとう医院」院長の斎藤寛和氏が3月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「心臓病の具体的な手術方法」について解説した。

カテーテルによって患者の負担が軽くなった「心臓の手術」

※画像はイメージです

カテーテルによって心臓にアプローチして治療

新行市佳アナウンサー)今回は心臓病の治療について伺います。心臓病の手術と聞くと、よくテレビドラマでも取り上げられている「難しい手術」というイメージですが、どんな治療が行われているのでしょうか?

斎藤)昔からの方法だと、胸を開け、体の方には人工心肺から血液を回して心臓を止める。心臓を止めている間に、例えば弁の逆流を治すとか、狭窄部を広げる、あるいは血管をつなぐなどの処置を行う。それが終わったら、また心臓を動かして、人工心肺から離脱するという手術が主流でした。

新行)心臓を一旦止めるのですね。

斎藤)しかし最近では、カテーテルによって血管内から心臓にアプローチし、さまざまな治療ができるようになりました。外から器具を入れる手術でも、お腹の手術などは腹腔鏡手術と言って、小さな穴を開けて行うようになりましたが、心臓の分野でもそういう手術がかなり進んできています。患者さんの負担は軽くなっていると言えます。

精密に動くカテーテル ~レントゲンを使わず、磁場を使って位置を判定

新行)お医者さんの立場からすると、手術方法の進化に合わせて、訓練も必要になってきますよね。

斎藤)私は不整脈の治療を少しやっていましたけれども、大変でした。

新行)どんなところが大変でしたか?

斎藤)カテーテルの位置を決めるのに、昔はレントゲンを使っていました。時間が掛かるので、我々の被曝量も多くなります。カテーテルに関しても、自由に動かないようなものを使っていた時代もあります。そうすると職人芸が必要になるのです。

新行)職人芸が必要に。

斎藤)しかし、現在では、カテーテルはかなり精密に動くようにできています。マッピングと言いますが、「カテーテルがどこにあるか」というような判断も、いまはレントゲンを使わず、磁場を使って位置を判定し、電気的な流れまで全部わかってしまうのです。これは不整脈の治療ですが、かなり進歩しています。

カテーテルによって患者の負担が軽くなった「心臓の手術」

斎藤寛和氏、新行市佳アナウンサー

カテーテルによって高齢者の大動脈弁狭窄症の手術が可能に

斎藤)心臓弁膜症のなかでも「大動脈弁狭窄症」は、心臓から血液を全身に回す出口のところ、大動脈弁の動脈硬化が進み、狭窄を起こして血流がなかなか出せない状態になってしまうことがあります。こういう病気は症状が一旦出ると、昔は胸を開けて弁を置き換えるような手術が必要でした。

新行)胸を開けて。

斎藤)しかし、いまはカテーテルで人工弁を大動脈弁まで持っていき、そこにはめて治すことができます。これも名人芸のように思いますけれども、かなり多くの病院で行われています。

新行)いまでは。

斎藤)高齢になると大動脈弁狭窄症が起きやすいのですが、80歳~90歳、私の知っているなかでは100歳の方でも、この手術を受けた結果、症状が軽くなり、むくみなども取れて幸せに暮らしている方が何人もいらっしゃいます。切らなくていいのです。もちろんカテーテルが入るところは若干切りますが、5ミリ程度ですから。

胸腔鏡手術で血栓症を治療

斎藤)もう1つ、腹腔鏡手術の話をしましたが、胸腔鏡で胸の方に小さな内視鏡を入れ、心臓の一部を切り取って血栓症を起こさないようにする手術も行われています。素晴らしいと思います。

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