男性の更年期障害に効く漢方薬
公開: 更新:
「セイメイ内科」院長で漢方薬専門の韋晴明氏が3月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。男性の更年期障害に効く漢方薬について語った。
漢方薬での男性更年期障害の治療
新行市佳アナウンサー)今回は男性の更年期障害と漢方薬について伺います。男性の更年期障害は男性ホルモンであるテストステロンの減少によって起き、西洋医学ではテストステロン補充療法が選択されますが、効かないこともあるという話でした。
韋)男性更年期障害は、全身の疲労感や倦怠感、性欲の低下、不眠、肩こり。また精神的には気力や集中力の低下、イライラや抑うつなど、症状が多岐にわたります。うつ病にも似ているので、テストステロンの値を測るのは、うつ病と区別する方法だと言われています。
多血症や肝臓機能が低下している、前立腺がんの腫瘍マーカーが高い、睡眠時無呼吸症候群の人は漢方治療が向いている
韋)原則はホルモン補充療法ですが、症状があっても男性ホルモンの値が必ずしも低くない人がいます。あるいは男性ホルモンの値が低いのだけれども、ホルモン補充療法に向いていない人もいます。
新行)ホルモン補充療法に向いていない。
韋)例えば赤血球が多く、血液がドロドロしている多血症の人や、肝臓の機能が低下している人。PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーが高い人や、睡眠時無呼吸症候群の人。そういう方々は男性ホルモン補充療法が向いていないと言われますので、そのような場合には漢方治療の出番になります。
男性更年期障害で軽い症状の場合は「補中益気湯」を処方
新行)実際に男性の更年期症状には、どんな漢方が処方されるのですか?
韋)倦怠感があったり、気力や集中力がないというような比較的軽い症状の場合には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という漢方を最初に処方します。
新行)「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」。
韋)通常は、主に食欲不振や胃下垂、また大病後の体力増強の目的で使われる漢方です。男性更年期障害の治療においては、元気を補ったり、男性ホルモンをサポートする効果が期待されます。この漢方は即効性がありますので、一服飲めば効果が出ます。そういう意味では素晴らしい薬だと思っています。
老化の症状には「八味地黄丸」 ~即効性がないので長期にわたって飲む
新行)だるさや老化による症状に効く漢方薬はありますか?
韋)補中益気湯と並んでよく処方されるものに、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」という漢方薬がありますが、これは即効性がありません。男性更年期障害によるいろいろな不調に対して処方されます。例えば疲れを感じやすい、手足が冷える、腰が重い、足がしびれる、夜中に尿意で目が覚めるなど、いわゆる老化の症状に対して処方します。ただ、即効性がないので、気長に飲んでいただかないと効果は実感できないかも知れません。
ホルモン治療が合わない人には漢方薬という選択肢もある
新行)更年期障害で悩んでいる方に注意点があれば、教えていただけますか?
韋)いまは男性も女性もホルモン補充療法が普及していますから、ホルモンが不足している人にはそれを補充するのが1つの選択肢です。ただ、それだけでは症状が改善しない人や、そもそもホルモン補充療法が不適当な人もいらっしゃいます。そういう人には漢方という選択肢もあります。すべて漢方がいちばんというわけではありません。
新行)そこはお医者さんと相談するのですね。
韋)そうですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます