なぜ酒飲みに「脂肪肝」が多いのか
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東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が3月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。脂肪肝について語った。
生活習慣病の1つである脂肪肝
飯田浩司アナウンサー)脂肪肝という病気は、昔からあるのですか?
鳥居)最近多くなってきました。現代病の1つですし、生活習慣病の1つでもあります。アメリカでは20年~30年くらい前から、脂肪肝と逆流性食道炎が注目されていました。どちらも食べすぎと運動不足で起きている病気です。最近は日本でも多くなり、予備軍は3人に1人くらいいるのではないかと言われています。
飯田)確かに、胃カメラを飲むと逆流性食道炎も指摘されるのですよ。
運動不足とお酒の飲みすぎから脂肪肝に
飯田)食生活の西洋化が原因なのでしょうか?
鳥居)欧米の食事が入ってきて、ジャンクフードが増えたことも影響していると思います。もう1つは運動不足で、カロリー消費が少なくなるということです。運動不足になると血液中の中性脂肪が増えます。それが脂肪に沈着すると、脂肪肝の状態になるのです。
飯田)酒飲みの間でよく聞く病気ですが、お酒の作用はあるのでしょうか?
鳥居)お酒の影響があります。ここで言う脂肪肝は非アルコール性の脂肪肝を指しているのですが、アルコール自体が肝臓を悪くしますし、中性脂肪を一気に上げてしまうのです。
飯田)お酒を飲むことで。
鳥居)血中の中性脂肪が上がり、肝臓に沈着するという両方の作用によって、お酒が肝臓に悪いと言われています。
お酒を飲まなくても脂質の多い食事が好きな人や太った人は脂肪肝になりやすい
新行市佳アナウンサー)お酒を飲まない人も脂肪肝になるのですか?
鳥居)お酒を飲まない人でも、脂質の多い食事が好きな方や、太っている方は脂肪肝になりやすいです。ただ、脂肪肝から脂肪肝性の肝障害になるかどうかは、人によって違いが出てきます。
飯田)飲まない人でも。
鳥居)脂肪がついても、細胞が壊れて肝細胞障害が起きるかどうかは体質によるわけです。
飯田)その人の体質によるのですね。
鳥居)問題は肝細胞障害が起きると、それが治るときに線維化が起こります。一般的なアルコール障害やウイルス性肝炎と同じように、次には慢性肝炎になり、肝硬変になって、そこから肝臓がんを発症するのがアメリカでは問題になっています。
自覚症状がない脂肪肝
飯田)脂肪肝になると、自覚的な症状は出るのでしょうか?
鳥居)ほとんどないですね。肝臓は「沈黙の臓器」と言われるくらい症状が出ません。肝炎が一気に腫れたりしたとき、被膜が伸展されて少し症状が出る程度で、通常の脂肪肝の場合はほとんど症状がありません。
飯田)被膜が伸展されるというのは、どういうことでしょうか?
鳥居)肝臓の正面には膜があります。B型肝炎やC型肝炎で一気に悪くなった場合は肝臓が腫れますから、不快感があるのです。
飯田)周りの膜が膨張して押されるのですね。
鳥居)それ以外の場合は残念ながら、肝臓には症状がありません。肝臓がんがあっても、最初はほとんど症状が出ません。検診や健康診断で早期に見つけることが大切です。
飯田)脂肪肝は生活習慣を改善すれば、普通の肝臓に戻っていくのですか?
鳥居)線維化が進むと戻りませんが、最初の脂肪肝の状態であれば、十分に戻ります。特に血液中の中性脂肪を戻すことで、脂肪肝はよくなります。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます