東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が3月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新鮮な魚に潜むアニサキスについて語った。

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新鮮なサバやサンマ、カツオを食べてお腹が痛くなる「アニサキス症」

飯田浩司アナウンサー）最近、先生のクリニックで増えている症状や病気はありますか？

鳥居）すごく増えているわけではないのですが、注意しなければいけないのは「アニサキス症」という病気です。

飯田）アニサキス。聞いたことがあります。

新行市佳アナウンサー）糸のようにニョロニョロしているものですよね。

鳥居）「線虫」という寄生虫の一種で、サバやサンマ、カツオなどに寄生します。いちばん多いのはサバですね。サバを食べたあとにお腹が猛烈に痛くなって、病院に来る患者さんがいます。大概、「前日に食べた」と言われるので、それが原因ではないかと推測できます。

新鮮な魚ほどアニサキスがいる可能性がある

鳥居）魚の内臓にアニサキスがいて、少し経つとそれが筋肉中に出てきます。その身を食べてしまうと人間の体内に入り、胃のなかの壁にアニサキスが頭を突っ込んで痛みが出るのです。新鮮な魚ほど起きることが多いです。

飯田）新鮮な魚を食べて。

鳥居）冷凍したものはだいたい死んでしまうので大丈夫なのですけれど、釣りに行ってそのあと自分で食べたとか、もらった新鮮な魚を食べた場合によく起きると言われます。

バッテラを食べるときも注意が必要

新行）アニサキスは胃液で死なないのですか？

鳥居）酸に強いので、胃液にも強いのです。酢でしめたバッテラなども加工されているように感じますが、アニサキスは生き残っていることが多いです。

飯田）そうなのですか？

鳥居）酢ですから。胃酸はpH1～2で、それでも大丈夫なわけですから、バッテラは要注意になります。

新行市佳アナウンサー、鳥居明氏、飯田浩司アナウンサー

1～2センチくらいの線状のアニサキス

飯田）アニサキスはどのくらいの大きさなのですか？

鳥居）1～2センチくらいの線状で、内視鏡でよく見ないとわからないくらいです。症状は激烈に痛くなるのですけれど、1度なった方は皆さん、よく覚えておられます。釣り好きな人などは魚が美味しいので、つい繰り返し食べてしまい、「先生、またこの前と同じ痛みが出ました」というような方もいらっしゃいます。

飯田）内視鏡で見つけた場合は取るのですか？

鳥居）内視鏡で見て、生検鉗子や異物鉗子で取ってしまえば痛みは急激になくなります。

アニサキス症の予防はどうすればいいのか

新行）魚を食べるとき、どうしたらアニサキス症を予防できますか？

鳥居）目で見てもアニサキスがいるのはわかるので、見るというのも1つの手ですが、なかなか難しいと思います。冷凍するとほとんど死んでしまうので、「マイナス20度で24時間以上の冷凍処理」が目安になります。

飯田）冷凍する。

鳥居）もう1つは加熱です。アニサキスは70度以上で1分間加熱すると死にます。醤油やわさびに殺菌効果があるのではないかと言われますが、それではアニサキスは死んでくれません。

飯田）ダメですか。

鳥居）はい。

飯田）食べてしまった場合、例えばクエン酸飲料などを飲んでも無理ですか？

鳥居）無理だと思います。ただ、3日～4日経つと自然に死んでしまいます。胃には好酸球性肉芽腫という、こぶのようなものができるのですが、自然に治ります。

飯田）放っておいても後遺症が出るようなものではない。

鳥居）ないですけれど、内視鏡で見て取れば劇的に症状はよくなります。