次のパンデミックに備え「臨時医療施設」を創設するべき 東京都医師会会長の尾﨑治夫

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月31日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍を振り返り、今後、パンデミック時に必要な医療体制について語った。

次のパンデミックに備え「臨時医療施設」を創設するべき 東京都医師会会長の尾﨑治夫

※画像はイメージです

コロナ禍での日本の医療体制を振り返る ~病床稼働率9割を保たなければ赤字になる病院

飯田浩司アナウンサー)新型コロナ感染症は5月から感染症法上の5類に分類が移行されます。コロナ禍の3年間を振り返って、医療全体の提供体制をはじめ、どうご覧になりますか?

尾﨑)日本の医療は国民皆保険制度によって点数を決められ、そのなかで診療しています。国民の皆様に比較的安価で診察を受けられる体制になっています。逆に診察する側、特に多くの病院は経営状態が厳しい。病床稼働率を9割くらいにしておかないと赤字になってしまいます。

余裕のないベッド数のなかで無理やりコロナ感染患者を受け入れてきた病院 ~新たな波が来るたびにひっ迫する病院

尾﨑)コロナ感染症は必ず波が来るときに急増します。第3波くらいから、その度に「5000床用意しました」、「7000床用意しました」となって、ベッドがあっという間に半分以上埋まり、いつもひっ迫してしまうのです。余裕のないベッド数のなかで、無理矢理、感染者の方を受け入れてきた。

飯田)数がないなかでも無理やり患者さんを受け入れてきた。

尾﨑)冬場は冬場で、高齢化のなかで救急医療が多い。しかし、コロナ感染の患者さんと両方診なければならず、またひっ迫する……この状況がずっと続いているのです。

臨時医療施設 ~パンデミックが発生したときにその感染症患者だけを受け入れる

尾﨑)コロナ禍の3年間で、副会長の猪口と「これだけはやっておかなければならない」と話していたのは、臨時医療施設をつくることです。

飯田)臨時医療施設。

尾﨑)1000床~2000床くらいの規模の臨時医療施設をつくる。普段は施設のベッドを空にしておいて、コロナのようなパンデミックが流行したとき、集中的に患者さんを入れていくのです。

飯田)普段は患者さんを入れず、パンデミックになったときに稼働させる。

尾﨑)コロナであれば、すべてコロナの感染者を入れる。入院しているのはコロナ感染の患者さんだけですから、分ける必要がなく、ゾーニングもいらない。すべて同じ(感染症の)人ですから。

飯田)病院丸ごと。

次のパンデミックに備え「臨時医療施設」を創設するべき 東京都医師会会長の尾﨑治夫

尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

パンデミック時には640の都内の病院から5人ずつ臨時医療施設に派遣してもらい、稼働させる

尾﨑)「何階にはコロナの患者さん、何階には他の患者さん」というようにゾーニングする必要はないのです。サージキャパシティと言いますが、余裕のある受け入れ体制がつくれるのです。

飯田)余裕をもって受け入れられる。

尾﨑)では「その人員はどうするのか?」と、よく知事にも聞かれます。

飯田)そうなりますね。

尾﨑)東京には640ヵ所くらいの病院がありますから、普段はそこから5人ぐらいの医師や看護師、事務の方が参加し、シミュレーターなどを入れて感染の訓練をしてもらうのです。

飯田)パンデミックが起きていないときは。

尾﨑)その訓練によって、感染症を診るスキルを持った人が1つの病院にいるとすれば、(東京の病院は)約640ヵ所あるわけですから、感染症を診るスキルを持った人が約3200人いるわけです。いざとなったらその人たちを臨時医療施設に派遣してもらう。1つの病院で5人くらいであれば、出せないことはないと思います。

飯田)なるほど。

尾﨑)普段はシミュレーションセンターにしておき、そこでスキルを学んでもらう。そういう形の臨時医療施設をつくる必要があると思います。

飯田)次のパンデミックに備えて。

尾﨑)ただ、いままではそういう経験がないわけです。「つくるのはいいけれど、上手くいかなかったらどうする」というのがお役人の考えですので、実現するように粘り強く主張していきたいと思います。

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