半導体の供給が進んでインバウンドも戻り、「景況感は良好」に

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元内閣官房参与で元駐スイス大使の本田悦朗と前日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が4月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本銀行が発表した地域経済報告について解説した。

半導体の供給が進んでインバウンドも戻り、「景況感は良好」に

関空賑わい アジアからの便が到着し、賑わう関西国際空港の国際線到着口=2023年4月19日午前11時30分 写真提供:産経新聞社

日銀の景気判断、すべての地域で前向きな表現に

日本銀行は4月20日に発表した地域経済報告のなかで、全国9つの地域のうち7つの地域で景気判断を据え置いた。一方、前回「横ばいで推移」とした「東海」の景気判断を引き上げたことで、すべての地域で「持ち直している」や「緩やかに持ち直している」といった前向きな表現となった。

飯田)地域経済報告は「さくらレポート」という名前でも呼ばれます。地域経済報告は、日銀のなかでも重要なものなのですか?

片岡)そうですね。流れとしては来週、決定会合があります。

飯田)金融政策決定会合。

片岡)決定会合の前のタイミングで、地域の経済動向がどうなのか各支店長方から話を聞き、その上で全体のマクロ経済、各国経済の動向を見ながら「政策をどうするか」を考えていく。そういった一環ではあると思います。

半導体の供給が進み、製造業を中心に状況が改善し、景況感がよくなっている

片岡)ニュースとしては、全体的に持ち直しの動きが進んでいます。特に東海地域が先行しているようですが、いつものパターンでもあるのです。

飯田)いつものパターン。

片岡)自動車産業が中心の東海地域が、全体の景気を引っ張っている流れです。それから最近の動きで言えば、半導体の供給が進んでいるので、製造業を中心に状況が改善してきている。だから全体として各地域の景況感がよくなってきているのです。

インバウンドが進み、観光消費が2019年を超えるのは時間の問題

飯田)半導体が足りないからものがつくれず、家電が店頭に並ばないのも、その影響があるという話でしたね。

片岡)もう1つはインバウンドの進行です。現状、中国からの観光客はまだ戻っていません。ただ金額ベースで考えると、2019年対比で6割~7割まで戻ってきています。2019年の状況を超えて観光消費、観光客数が拡大するのも時間の問題ではないでしょうか。

飯田)2019年を超えるのは。

片岡)さくらレポートでも書かれていますが、外国人の方の流入という需要に対して、供給サイドが追いついていない。そういう状況なので、思ったほど生産ができないのではないかという懸念はあると思います。

円安傾向が定着すれば、海外に移した製造拠点が戻ってくる

飯田)本田さんはいかがですか?

本田)典型的には半導体ですけれど、アベノミクスが始まる前に日本の産業が空洞化して、海外に製造拠点を移してしまった。しかし、このまま円安傾向が定着すれば、そういう企業が徐々に戻ってくると思います。既に、熊本などにはTSMCが工場を建設しています。

飯田)そうですね。

本田)日本は、半導体自身は海外に出してしまいましたが、半導体製造装置については、オランダと日本とアメリカの3大メーカーが健在です。いずれまた日本も半導体王国に戻って欲しいなと思います。

ホテルの部屋の占有率もコロナ禍前の占有率に戻ってきている

本田)インバウンドは相当戻ってきています。私もあるホテルの経営にタッチしていますが、コロナ前の部屋の占有率に戻ってきています。だいたい6割~7割以上です。

飯田)そんなに。

本田)特に国際的なホテルだと、外国人と日本人の割合は6対4くらいです。ただし、圧倒的にヨーロッパ人が多く、中国はまだ少ないです。

観光業において、需要超過になってきている ~今後、価格が上がるなかで「いかによりよいサービスが提供できるか」が問われてくる

片岡)当社も円安を利用して、日本でイベントを行う海外のフランチャイジーな会社の方々が増えています。そういう方々は団体で来るので、団体扱いで1つのホテルにみんなで泊まりたいと。しかし、そういう形でホテルに泊まると、個別にホテルを取るよりも、2倍くらいホテル代が高くなるのです。

飯田)高くなるのですか。

片岡)国内であれば団体の方が割安になりますが、逆に高くなっているのです。

飯田)部屋が押さえられないから。

片岡)占有されると他のお客さんが入れない。そういう意味でリスクがあるので、チャージを高くするのです。

飯田)なるほど。

片岡)逆に言うと、それくらい需要が盛り上がってきています。人の頭数、ないしは資本の量で言うと、完全に受給のキャパシティという意味では、需要超過になってきているのです。今後、日本が成長するには、そのなかで生産性をどう上げていくのか。価格が上がるなかで、よりよいサービスをどう提供するのか。それが企業に問われるのだと思います。

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