「高齢出産」にはどんなリスクがあるのか
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東京都医師会理事で東京産婦人科医会・名誉会長の落合和彦氏が4月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。高齢出産のリスクについて語った。
10年で5歳上がった初産の年齢 ~32~33歳
飯田浩司アナウンサー)少子化とセットで議論されるのが初産の年齢、いわゆる高齢出産の問題です。現状、初産の年齢は上がってきているのですか?
落合)晩婚化が進んでいるのは皆さん、肌感覚でおわかりになるかも知れません。キャリア形成をする時期と、出産適齢年齢はだいたい同じなのですね。当然のことながら晩婚化、あるいは結婚しても「子どもを産むのはもう少し経ってからにしよう」ということになり、それらが高齢初産の原因になっているのだと思います。
飯田)第一子を産む平均年齢が上がっているのですか?
落合)現在では32~33歳になっています。従来は27~28歳でしたので、この10年で5歳くらい年齢が上がっていることになります。
飯田)いま出産のために病院にかかっている人を見ると、20代の方はむしろ珍しいという感じですか?
落合)そうですね、少なくなっていますね。
35歳以上の初産が「高齢出産」 ~流産や早産、死産のリスクも
飯田)俗に「高齢出産」という単語が使われますが、「何歳以上」というような定義はあるのでしょうか?
落合)一応、学会の定義では35歳以上の初産を高齢出産と呼びます。
飯田)どんなリスクがあるのですか?
落合)高齢出産の場合、流産や早産、死産などの異常が増えてくるのです。
高齢になると産道が硬くなり、十分に道が開かないので分娩に時間がかかる ~帝王切開の可能性が高くなる
飯田)出産する妊婦の方も、20代の妊娠とは違う身体の変化がありますか?
落合)妊娠中でも、いわゆる「妊娠高血圧症候群」、昔で言うところの妊娠中毒症や、胎盤の異常なども起きやすくなります。胎盤が早く剥がれてしまう「胎盤早期剥離」という病気です。こういったものも年齢とともに割合が高くなることがわかっています。
飯田)母体への負担という意味でも、いろいろ出てくるのですね。
落合)また、難産になりやすいですね。高齢になると赤ちゃんの通り道である産道が硬くなり、十分に道が開かないので分娩に時間がかかるのです。その分、赤ちゃんにも負荷がかかりますので、帝王切開になる割合も高くなります。
飯田)高齢出産を迎える妊婦さんやご家族の方には、どんな注意喚起をされていますか?
落合)「妊娠適齢期」という表現で啓発活動を行っている自治体などもあります。実際に妊娠された高齢出産の妊婦さんたちに対しても、それぞれの医療機関で20代の方よりも頻繁に妊婦健診を受けていただくような注意が必要です。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます