「少子高齢化が止まらない」ことは20年前から訴えられていた 放置してきた政治の責任は重い

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ジャーナリストの鈴木哲夫が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。厚生労働省が公表した2070年までの日本の将来推計人口について解説した。

「少子高齢化が止まらない」ことは20年前から訴えられていた 放置してきた政治の責任は重い

※画像はイメージです

日本の将来推計人口

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は4月26日、2070年までの日本の将来推計人口を公表した。総人口は2020年の1億2615万人から、50年後の2070年には約3割減少し、8700万人となる計算。また2070年には出生数が50万人になる計算で、超高齢化の進行に歯止めが掛からない流れとなる。

飯田)このうち1割を外国人が占めることも推計されているようです。

鈴木)人口が1億人を切るのですよ。

20年前から「少子高齢化が止まらない」と河野太郎氏や山本一太氏などが訴えていた ~政府も自民党のトップも相手にしなかった

鈴木)20年前から「少子高齢化が止まらない」と、この問題に取り組んできた国会議員などが言っていました。

飯田)既に20年前から。

鈴木)河野太郎さんや山本一太さん、いまの愛知県知事である大村さんや、林芳正さんも言っていたと思います。そういう方々が2004年ぐらいに「少子高齢化が止まらない」と発信し、「いまの社会保障制度は崩れる」と危惧していました。年金もそうだけれど、基本的には現役世代が負担していくものでしょう。

飯田)そうですね。

鈴木)社会保険料を払っていくのもそうです。そういう意味で、少子高齢化が進んだら社会保障の財源などは壊れてしまう。安定的な財源を考え、高齢化社会のためにお金をどう備えるかについて、「消費税を充てるべきではないか」という提言を20年前にしています。

飯田)20年前に。

鈴木)しかし、当時の政府や自民党のトップたちは、誰も相手にしなかった。「少子高齢化など、これから頑張れば止まるだろう」ぐらいで……結果は「ほら」という感じですよ。

飯田)当時は団塊ジュニアと呼ばれる世代が大きな人口のゾーンとしてあったから、そこが子どもを産めば出生率は回復するだろうという甘い考えだった。

今後の社会保障の財源の議論を本気でしなければならない

鈴木)しかし、2003年~2004年くらいから価値観も変わってきました。少子高齢化や結婚する・子どもを産むという問題の前に、社会の価値観が変わってきて、「どう働くか」「どう生きていくか」と考えるようになった。

飯田)価値観が変わって。

鈴木)そういう時代の変化を政治は読み取れないのです。それで結局こうなってしまった。いまは「1億人を切るぞ」と言うけれど、「ちょっと待てよ」と思います。私は20年前からの責任を問いたいわけですよ。

飯田)誰も耳を貸さなかったことに。

鈴木)経済団体が「社会保障の財源として消費税を考えてもいいのではないか」と言い出した。私たちにとって消費税は嫌ですよ。嫌だけれども、超高齢社会になって人口が少なくなっても、きちんと年金も欲しいし保障も欲しい。ではそのお金はどうするのか。そうなれば、消費税でも仕方ないかと考えるかも知れません。国民がどう判断するかはわかりませんが、そういう議論を本気で始めなければダメだということです。

飯田)社会保障の財源をどうするのか。

鈴木)そういう意味では、財界から「財源に消費税を考えてもいいのではないか」という発言があったことは、いいきっかけだと思います。既に20年前から機会をつくってきたけれど、それを無視してきた政治・行政の責任はもちろんあります。

「国会議員の数を半減させる代わりに財源を消費税にする」など、政治側も無駄を省く必要がある ~「そこはそのまま」は通用しない

鈴木)そういう議論を含めて、社会保障についてもう1回議論する。これは大きなテーマであり、しかも早急に進めなければなりません。1~2ヵ月では結論が出ませんから。いまから何年か議論して、それから動くとなれば、さらに少子高齢化が進んでしまいます。

飯田)そうですね。

鈴木)年金もそうですが、「財源を消費税にする」というのは、考え方としてはあると思います。でも、それをやるならば、いかに政治側が無駄を省くかということです。「国会議員の数を半分に削減して身を切る改革をやるから、その代わり財源を消費税にしましょう」とかね。

飯田)確かに人口が減るとなると、それを代表する人たちも同じように減っていく必要があるかも知れない。

鈴木)「そこはそのまま」というのは通用しません。

岸田政権は「社会を変える」ことまでしなければならない

飯田)これだけ子どもや現役世代が少なく高齢者が多い状況だと、現役だけで支えるいまのシステム的なものを変える必要があるかも知れない。働き方改革も、実はそこが大事かも知れないですよね。

鈴木)そういう基本理念を岸田さんはわかっているのでしょうか。本気で少子化対策をしているのかなと思います。

飯田)さすがに年齢には抗えない部分があるから、きつい仕事やフルタイムの仕事は難しいかも知れないと考えると、パートタイムでいいから少し年金の足しにするような働き方ができるようにしなければならない。そうなると、いままでのように終身雇用で「若いときは損をするけれど、高齢になれば働きよりも給料が高くなる」というような仕組みもおかしいのではないか、という話になってくるでしょうし。

鈴木)一言で言うと、社会を変えないとダメです。「少子化対策」と言っているけれど、個別の話ではないのですよ。社会を変える、文化を変える。岸田さんはそこまでやらないとダメですよ。

飯田)そこまでやってくれるのであれば、「消費税を上げるのも仕方ないか」と思うけれども。

鈴木)身を切る改革もそうです。

飯田)いまは「現役ばかり損しているではないか!」と思います。

鈴木)それで高齢者と憎み合い、社会が分断される。最悪の状況なのですよ。

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