20代~30代に再び増えてきた「新型コロナ感染症」
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。感染症の現状について語った。
小児科ではさまざまな感染症が、内科では未だに多い20~30代の新型コロナ患者
飯田浩司アナウンサー)新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したあと、感染症の流行はどうなっていますか?
川上)私のクリニックは小児科専門なのですが、小児科は「感染症のデパート」などと比喩されるように、いろいろな感染症が見られています。
飯田)感染症のデパートですか。
川上)一方で、特に20~30代の若い方が受診される内科のクリニックでは、相変わらずコロナが多いと聞いています。
コロナ前と比べて季節性のない流行り方 ~新型コロナからおたふく風邪までさまざまな感染症が流行っている
飯田)小児科に関しては感染症のデパートだということですが、コロナ前の平時と比べるといかがですか?
川上)コロナが流行する前、3年前以前と比べると、季節性のない流行り方をしているのが2023年の特徴だと思います。
新行市佳アナウンサー)具体的にはどんな感染症が流行っているのですか?
川上)子どもたちの間では、コロナやインフルエンザも見られますし、暑くなってきてからはいわゆる夏風邪のヘルパンギーナ、手足口病。また、予防接種しているはずの水疱瘡やおたふく風邪も見られます。
コロナ禍での接種率が低下したMRワクチンやBCGワクチン ~その影響もあるか
飯田)以前、コロナ禍の時期に川上先生にお越しいただいたとき、予防接種の接種状況がなかなか上がらないと言われていました。コロナに感染することを恐れて、病院に行こうか迷っている親御さんもいるという話でしたが、そういったことは影響していますか?
川上)ないわけではないと思います。国の統計を見ると、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)やBCGワクチンに関しては、2021年・2022年は接種率が下がっているのです。
飯田)母子手帳を見ると「この時期に接種しましょう」ということが細かく書いてあります。そこを逃してしまうと、のちに影響が出たり、免疫がつかなかったりすることもあり得るのですか?
川上)打っていただければ免疫はつきます。ただ、公的な接種の期間が決められていて、時期を逃してしまうと自費で払わなければなりません。それが接種率を回復させられない理由の1つになっていると思います。
マスクを外せない子どもたち
飯田)マスクも自己判断になり、「着用している人、していない人」とまちまちですが、こういったことが子どもの感染症にも影響していますか?
川上)大きな影響はないと思います。子どもたちは意外にマスクを外せないでいるのです。
飯田)「自己判断で」と言われても、「やはりつけておこうかな」と考えてしまうのですか?
川上)子どもの場合は感染症予防としての判断ばかりではなく、小学校でも高学年ぐらいになると、つけていた期間が長いので「外すのが恥ずかしいから外したくない」というお子さんも少なくありません。
飯田)確かに「素顔を見られることが恥ずかしい」と考えると、大人以上に外せなくなってしまう子どももいるかも知れませんね。
川上)マスクをしている割には感染症が増えていますから、マスクの効果ばかりではないと言えるでしょう。
新型コロナ感染症の患者が再び増えている
新行)20~30代で新型コロナウイルスにかかる方が増えてきたという話ですが、大人の感染症の流行状況を改めて教えていただけますか?
川上)大人に関しては、発熱したあとに症状がよくなってしまうと受診しない方が多いので、正確なデータが得にくいのですが、内科の先生に聞くと、発熱した若い人の多くは新型コロナ感染症だということです。5月はインフルエンザも多かったのですが、いまは減ってきているそうです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます