蚊を介して感染する「日本脳炎」や「デング熱」 注意することは?
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。大人も気をつけたい感染症について語った。
蚊が媒介する感染症
飯田浩司アナウンサー)今回は大人も気を付けなければならない感染症について伺います。どんな感染症が挙げられますか?
川上)これからの季節は、蚊に刺されて起こる感染症に注意が必要です。日本脳炎やデング熱が挙げられると思います。
飯田)蚊が媒介するものは多いのですね。
川上)そうですね。他にも特殊な蚊によりますが、マラリアという病気もあります。
免疫を持たない人が感染すると3割が亡くなる「日本脳炎」
飯田)一連の蚊にまつわる病気で、まずは日本脳炎について伺いたいのですが、どんな病気なのですか?
川上)日本脳炎は日本脳炎ウイルスと呼ばれるウイルスが媒介するもので、その名の通り脳炎を起こします。主たる症状は発熱になります。
飯田)そのまま放っておくと大変なことになりますか?
川上)まったく免疫を持っていない人が日本脳炎ウイルスに罹ると、3割が亡くなると言われています。
飯田)そんなに致死率が高いのですね。
川上)後遺症なく生還できる人も3割ほどと言われるくらい、極めて重い病気です。世界的には、いまでも毎年1万人~3万人の方が感染しています。
飯田)致死率を考えると、数千人単位で亡くなっている方がいらっしゃるのですね。
川上)そうですね。
生後6ヵ月から接種できる日本脳炎ワクチン
飯田)ワクチンはあるのですか?
川上)ワクチンがあります。定期接種の標準的な時期としては3歳から接種が開始されますが、何年か前に千葉県で6ヵ月の赤ちゃんが感染したことがありました。それ以来、接種可能な期間が生後6ヵ月からとなっていますので、私たち小児科医は生後6ヵ月からの接種を勧めています。
飯田)ある程度大人になってからでも免疫は維持されるのですか?
川上)乳幼児期から3回、9歳~13歳の間で1回、計4回の接種があります。それだけ打っておくと、あとは免疫が維持されます。また、実は蚊に刺されてウイルスをもらったけれど、戦って免疫が維持されていく場合もあります。それ以後は打たなくてもいいことになっています。
有効なワクチンがない「デング熱」
飯田)他に蚊が媒介したり、この時期に気を付けたい感染症はありますか?
川上)1つはデング熱があります。これも何年か前、代々木公園でのイベントに端を発して流行がありました。デング熱も蚊によって媒介されますが、こちらは有効なワクチンがありません。当時も言われましたが、蚊が増える環境をつくらないこと、蚊に刺されないように虫除けを上手に使うこと、それによってしか防げません。
飯田)蚊の増えない環境というのは、水溜まりやバケツなどに入れた水を放置しないということですか?
川上)そうですね。
進行が早く、死亡率が高い「髄膜炎菌感染症」 ~ワクチン接種で予防を
飯田)他に何かありますか?
川上)ワクチンで予防できる病気の1つに、髄膜炎菌感染症があります。その名の通り髄膜炎を起こす菌なのですが、罹ったときになかなか髄膜炎菌感染症だと気付かれにくいのと、進行が早く死亡率が高いと言われています。
飯田)わかりにくく、進行が早い。
川上)集団生活の場が最も感染率が高いと言われています。例えば、寄宿舎やキャンプでの狭いテントのなかで、多くの人間と一緒に過ごすような時間などがリスクの高い環境になります。
新行市佳アナウンサー)ワクチンはありますか?
川上)これはあります。1回接種で完了するので、サマースクールに出たり、キャンプをする際には事前に打っておいた方がいいと思います。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます