キャスターの辛坊治郎が7月24日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。十徳ナイフを携帯して軽犯罪法違反の罪に問われ、1審で科料9900円の有罪判決を受けた鮮魚店の店主(48)の控訴審判決が8月1日に大阪高裁で言い渡されることを巡り、「刑法は犯罪者を仕立て上げるためにあるわけではない」と指摘した。
ナイフや栓抜きなどさまざまな機能がついた十徳ナイフを正当な理由がないのに隠し持っていたとして軽犯罪法違反の罪に問われた48歳の鮮魚店の店主の控訴審判決が8月1日、大阪高裁で言い渡される。1審では有罪とされ、店主側が控訴していた。
辛坊)根本的な問題として、刑法は犯罪を防ぐためにあるものです。犯罪者を仕立て上げるためにあるわけではありません。その観点から考えたときに、鮮魚店の店主がたまたま持っていた十徳ナイフを見つけたからといって、犯罪者として処罰することが適当なのかは、「常識で判断しろよ」と言いたいですね。1審の裁判官は、「こんなことを問題にすべきではない」と常識的な判断を下すべきだったと思います。
裁判官は独立して自らの良心に従って判決を出すのが基本です。ところが、日本の1審の裁判官は、警察、検察が犯罪者として取り締まった人間を有罪にしないと、出世に響くんですよ。裁判官も人間ですから、出世を考えてしまうわけです。ですから、今回のケースでも、1審である大阪簡裁の裁判官は常識的には処断すべきではないと考えていたとしても、結果的には無罪判決を出していません。
これに対し、高裁の裁判官はある程度、既に出世していますから、常識的な判決を出すケースが多いです。今回のケースで高裁の裁判官がどう判断するかは分かりませんが、私の常識からすると、この店主は無罪ですね。
確かに、正当な理由がなく刃物を持っていると罪に問われる恐れがあります。ただし、健全な市民を犯罪者に仕立てるためのツールとして法律を使ってはいけないという最低の常識があるにもかかわらず、現場の公務員の中には取り締まることが仕事だと思ってしまう人がいます。
今回のケースでは1審の判決で、店主は長い期間、普段の仕事などでナイフを使っていなかったなどと判断されました。皆さんも気をつけていただきたいです。最近、アウトドアブームで、キャャンプなどに行く際には料理をするためにナイフや包丁を持っていくことが多いと思います。これは正当な理由です。ところが、週末にキャンプに行き、週明けにそのまま車の中にナイフや包丁を置きっぱなしにしていて、何かの取り締まりで警察に職務質問されて見つかると、摘発される恐れがあります。
私は、こういうケースは摘発すべきではないと思います。繰り返しますが、刑法は健全な市民を犯罪者に仕立て上げるためにあるわけではなく、犯罪を防ぐためにあるからです。警察官や検察官、裁判官には、そのことをもう一度、確認してほしいと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)