「年収130万円の壁」は簡単に解決できる 高橋洋一が解説

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数量政策学者の高橋洋一が9月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理が最優先で取り組む考えを強調する「新たな経済対策」の策定について解説した。

「年収130万円の壁」は簡単に解決できる 高橋洋一が解説

※画像はイメージです

岸田総理、物価高への対応など新たな経済対策の策定を最優先

岸田総理大臣は自民党の役員会で、物価高への対応などを柱とした新たな経済対策の策定に最優先で取り組む考えを強調し、萩生田政務調査会長は10月中旬に党の提言をまとめる方針を示した。総理は物価高への対応などを柱とした新たな経済対策について、政府・与党で緊密に連携しながら取りまとめを行い、そのあと速やかに補正予算案の編成に入る考えを示した。

「成長の成果の適切な還元」と「未来投資」の2つで経済対策は完結する

飯田)9月26日の閣議で正式に指示も出ています。5つの柱について、特に1つ目には物価高対策、2つ目には賃上げ支援が挙げられています。どうご覧になりますか?

高橋)なぜ、この5つの柱が先になるのですかね? マスコミに説明しているからだと思いますが、記者会見を見ると、この前に「成長の成果の適切な還元」と「未来投資」の2つがあります。はっきり言って、この2つで経済政策は全部できますよ。

飯田)「成長の成果の適切な還元」と「未来投資」の2つで。

「国民への適切な還元」は上振れた税収15兆円をすべて減税で還元すればいい ~「未来投資」に関しては政府が公共投資やGX投資を「これだけ投資する」と言えば終わる

高橋)国民への還元であれば、いままで税収の上振れは15兆円ぐらいあるから、これをすべて減税で還元したら終わってしまいます。

飯田)税収が上振れした15兆円を還元すれば。

高橋)未来投資については、公共投資もGX(グリーントランスフォーメーション)投資も、政府が「これだけ投資する」と言ったら終わることです。

飯田)未来投資は。

高橋)「国民への成長の成果の適切な還元」に関して数字を入れると、GDPギャップが約15兆円だから、「15兆円減税する」と言えば終わりますよ。簡単です。15兆円くらい、当初予算に比べて上振れたのは事実だから、それを還元すればいい。還元のやり方でいちばん簡単なのは減税です。減税なら執行率100%ですから。

飯田)そうですよね。

高橋)何も考えなくていいので、いちばんシンプルです。最初に「国民に還元する」と言ったのを聞いて、それなら「経済対策をつくるのは簡単だな」と思いました。そのあとの話はしなくてもいいくらいです。

飯田)物価高などの方ばかりが見出しに立っていますね。

高橋)不思議ですね。

簡単に解決できる「年収130万円の壁」

高橋)「年収130万円の壁」という話ですが、昔から変に思っていました。壁ができる理由の1つは、年収が106万円を超えると控除がなくなるからです。

飯田)106万円を超えると。

高橋)だから一気に「ドン」とコストが掛かってしまう。130万円の壁は、ここを超えると保険料負担が一気に増えるのですよ。

保険料の取り方を税金のように「130万円を超えたら130万円超えた分の何割かを払う」というやり方に直せばいい

高橋)2つとも一気にコストが掛かるのです。130万円から保険料が一気に増えるというのは、保険料の取り方の問題です。130万円を超えると、何万円か一気に払わなければいけなくなる。

飯田)130万円を超えると。

高橋)要するに1万円超えても、それ以上の保険料を払うことになるから壁になってしまうのですが、税金でこんな話は聞いたことがないでしょう?

飯田)確かにそうですね。

高橋)税金はどうやっているかと言うと、「130万円を超えたら、130万円を超えた分の何割かを払う」というやり方なのです。そうやって直せばいいのです。

飯田)その仕組みを直していけばいい。

106万円を超えたら控除の負担を「超えた分について何割か負担する」という計算にするだけでいい ~料率を書き直すだけ

高橋)控除に関しては、106万円を超えたら控除の負担を「超えた分について何割か負担する」という計算にするだけでいい。簡単でしょう?

飯田)本当ですね。

高橋)これを20年間も「できない、できない」と言っているのですが、自分が官僚だったときから私には理解不能でした。「料率を書き直せば終わるではないか」と。

飯田)料率を書き直せばいい。

高橋)役所のなかで終わるのではないでしょうか。

飯田)法律の改正など、仕組みをいじる必要もない。

臨時国会の冒頭で経済対策のメニューだけ見せて「解散」という可能性も

飯田)この先、予算を実際に付けていくとなると、その辺りをお土産にしながら「解散があるのかないのか」ということになる。

高橋)税収が15兆円ほど上振れしているから、これを全部減税に回すと言うのであれば、補正予算は2日~3日でできます。通常は3週間くらい掛けて行うけれど、割り切れば早くできてしまうのです。

飯田)2日~3日で。

高橋)でも一応、「3週間くらい掛けてやる」などと言って、時間が足りずに10月20日前後くらいになってしまうかも知れません。その後、審議がどうのこうのという話になるでしょう。少し生煮えの部分もあるかも知れませんが、いまのスケジュールであれば、臨時国会の冒頭でメニューだけ見せて「解散」という可能性もありますね。

年内解散はあり得る

飯田)10月半ば、あるいはもう少しあとに国会が召集されるのではないかと言われています。

高橋)11月のどこかで解散するなど、年内解散はあり得るかも知れないですね。みんな、こういうスケジュールの話をしています。

飯田)解散スケジュールの話を。

高橋)「年収130万円の壁など、すぐ解決できる」と言うと、みんな「えっ」と驚いてしまうでしょう。はっきり言って、壁を壊すのは簡単だと思うけれど、「これは難しいものだ」と言っておかなければいけない。だって20年間も言っているのですから。

飯田)いまさらあとに引けないですか?

高橋)いまさら「簡単な話だ」などと言ったら困ってしまうのかも知れません。手品の種明かしみたいな話ですが、「難しい、難しい」と言っているから仕方ない。新聞にも「難しい」と解説している人も多いではないですか。

飯田)本当は政令一発で解決しますか?

高橋)政令すらいりません。通知、通達でいい。

飯田)通知で十分に対応できる。

高橋)単に取り方を少し変えるだけで、税法で細かく分けるのと一緒です。「限界的な取り方」という言い方をしますが、それで十分ではないですか。一気に「ドーン」と取るから大変なわけです。

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