東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が9月21日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。胃がん検査のX線検査と内視鏡検査について解説した。
胃がん検査の「X線検査」 胃を膨らませ、凹凸があればバリウムをはじくので病気がわかる ~X線の技師が行うので短時間で済むため、集団検診に適している
飯田浩司アナウンサー)人間ドックなどで「バリウムと内視鏡のどちらにしますか?」と言われますが、あれが胃がん検診と思っていいですか?
鳥居)そうですね。いまはX線検査と内視鏡検査が中心になっています。
飯田)X線検査はどういう検査なのですか?
鳥居)あまり美味しくありませんが、バリウムという造影剤を飲んでいただきます。そのあと、空気を胃のなかに入れるため、発泡剤を飲んでもらいます。「ゲップを我慢してください」などと言われることがありますが、それによって胃を膨らませ、微細な病変まで見ることができます。
飯田)胃を膨らませて。
鳥居)凹凸があるとバリウムをはじくので、そこに病気があることがわかります。逆に、凹凸がないとわかりにくいとも言えると思います。
直接病変を見ることができるので精度が高い内視鏡検査 ~患者への負担が大きく時間が掛かるというデメリットも
飯田)一方、内視鏡検査のメリット・デメリットは何がありますか?
鳥居)内視鏡検査の場合は、直接病変を見ることができるのです。X線検査では凹凸がないとわかりにくいですが、内視鏡検査であれば、色が変わっているだけでもわかります。
飯田)内視鏡であれば。
鳥居)ただX線検査の場合は、医師の立ち会いの下であればX線の技師さんがやってくれます。多くの患者さんを診ることができるので、集団検診には適していると言えます。
飯田)なるほど。
鳥居)しかし内視鏡の場合、精度は高いのですが、医師が直接診る上、1人に対する時間がある程度掛かります。
飯田)精度は高いが、時間を要する。
鳥居)昔は内視鏡検査と言うと、「オエッ」となる辛い検査と思われていましたが、いまは鼻からの内視鏡もありますし、昔に比べると内視鏡も細くなっています。以前は10ミリぐらいあったものが5ミリぐらいになっていますので、検査自体はかなり楽になりました。
内視鏡で腫瘍が見つかれば、組織を調べて後日、病変を切除する
新行市佳アナウンサー)内視鏡の胃がん検診で腫瘍が見つかった場合、その場で切除などをするのでしょうか?
鳥居)胃の場合にはタチの悪いがんもありますので、その場で切除することはありません。まず組織がどんなものなのか、本当にがんなのか、また、がんのなかでもどういうタイプかを、組織を採って調べる形になります。そして日を改め、病変を切除します。
飯田)胃のなかに内視鏡を入れて、その映像を見るわけですよね。見た目でわかるものなのですか?
鳥居)よく「顔つきがいい」とか「顔つきが悪い」と表現しますが、がんの特徴的な所見がありますから、それで判断します。
飯田)なるほど。
鳥居)いまはAIを使い、コンピューターに学習させて補助に使うことも行われています。将来的にはAIに覚えさせ、我々が10年~20年掛かった経験を瞬時に機械が判断できるようになる可能性があります。
胃潰瘍が完治しても「胃潰瘍瘢痕」という傷痕から再発する場合もある
飯田)内視鏡検査で「昔ここに潰瘍が少しありましたけれど、もう治っていますね」と言われたことがありますが、傷痕も残るのですね。
鳥居)胃潰瘍の場合、治ったときにある程度の深さがあると、瘢痕と言いますが、傷痕ができます。手などを深く切ったりすると、治るときに傷痕になりますよね。それが「胃潰瘍瘢痕」として見つかるのです。変形したり、ひだが集まっていたりするのでわかります。
飯田)私はまだピロリ菌の検査をしたことはないのですが、治っていれば大丈夫ですか?
鳥居)胃潰瘍は瘢痕があった場合、再発を繰り返すことがあります。ですから、必ずピロリ菌の検査をして、もしピロリ菌がいれば除菌をおすすめします。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます