岸田政権 支持率低下で「青木率」の危険領域までポイント下がる

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ジャーナリストの佐々木俊尚が11月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政務三役の連続辞任について解説した。

2023年11月9日、挨拶をする岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202311/09iais.html)

2023年11月9日、挨拶をする岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202311/09iais.html)

政務三役の連続辞任に松野官房長官「一層の緊張感持つ」と発言

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松野官房長官)政府としては一連の辞任を重く受け止め、一層の緊張感を持って職務に当たっていく所存であります。まずは国民生活や事業活動に重要な経済対策の裏付けとなる補正予算の編成を速やかに進め、国会への早期提出と成立に取り組んでいきます。

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松野官房長官は11月14日の記者会見で、過去の税金滞納が発覚した自民党の神田衆院議員が財務副大臣を辞任するなど政務三役の辞任が相次いだことについて「政府として重く受け止め、一層の緊張感を持って職務にあたる」と述べた。

飯田)与党内からも批判が相次いでおり、「もっと早く辞めさせるべきだったのではないか」という声も飛んでいます。

佐々木)「身体検査はどうなっているのか」という意見も出ている。財務副大臣が過去にも税金を滞納していたのは、さすがにどうかと思います。

飯田)4回の差し押さえがあったそうです。

支持率低下で「青木率」の危険領域50%に迫る65%まで下がっている

佐々木)文部科学政務官の山田議員が辞任した理由は女性問題ですからね。これは予測不可能なので、そこで政権の責任を問うても仕方ないのかなと思います。今回のような相次ぐ辞任も、政権運営が堅調であれば、ある程度は吸収できますが、現在はかなり支持率が低下しています。世論調査によると3割を切るところもありますし、自民党自体の支持率も下がっている。世論調査の見方の1つに「青木率」があるではないですか。

飯田)内閣支持率と与党第1党支持率の和が50%を下回れば……。

佐々木)政権が倒れるという。いま青木率を計算すると、65%くらいまで下がってきています。かなり危ない領域にいるのは間違いありません。

減税を打ち出したのに「防衛費増額」との整合性なく、支持率が上がらない

飯田)減税を打ち出したけれど、「少し前まで増税と言っていたではないか」というような話も出ています。確かに「減税を打ち出してもあまり支持されない」というのは珍しい現象ですよね。

佐々木)その前にも「防衛費をGDP比2%まで増額させるので、国民負担をお願いします」などと言っていたので、整合性がない。また、10月の臨時国会の所信表明演説では「税収増分を国民に還元する」と言っていたのに、それを財務大臣が否定しましたよね。

飯田)増収分は既に使い切ったと。

佐々木)あの辺りで揺れ動いているところが、信頼感のなさにつながっているのではないでしょうか。

飯田)財務大臣の発言も、「派手に梯子を外すのだな」という印象を受けました。

佐々木)「政権内部で一体何が起きているのか」が気になるところです。

ウクライナ情勢への関心が薄まり、内政・経済対策に対する不信感から支持率低下につながる

佐々木)一方で外交・安全保障に関しては、一貫して岸田内閣は安倍外交を継承しています。外交・安全保障での安定性と、内政、特に経済問題の不安定さとのギャップが激しすぎる感じもします。

飯田)外交に関しては「首脳外交も展開する」と意欲を見せています。総理はAPEC首脳会議に出席するためアメリカを訪問しますが、ここで「逆転ホームランを打ちたい」という気持ちがあるのでしょうか?

佐々木)岸田さんが就任した翌年、2022年2月にウクライナ侵攻が起きたとき、みんなが台湾のことを考えたわけです。通常だと外交・安全保障は支持率につながりにくいけれど、「外交をきちんと行っている」ということで岸田さんに支持が集まりました。ある意味、ウクライナ侵攻からの1年近くは、内政はあまり注目されていませんでした。どちらかと言うと、安全保障が支持率の分かれ目になっていた部分があったと思います。

飯田)内政ではなく。

佐々木)しかし、ウクライナ侵攻から1年半が経ち、いまも戦争は続いていますが、国内での関心が少し薄らいできている。一方、去年(2022年)から物価が上昇し、それに賃上げが追い付いていない現状があります。それに対する不満が大きく高まり、内政・経済対策への不信感も高まっていて、その不安定さによって支持率が落ちているのではないかと、個人的には思います。

落ち着くと見込んでいた海外からのエネルギー・原材料の高騰も米の利上げで落ち着かず

飯田)2021年の秋から冬にかけてのプロセスは、コロナ禍から徐々に脱却し、人々の活動も活発になって景気も少しずつ上向き、物価上昇が目立ってきましたものね。

佐々木)ウクライナ侵攻に端を発するエネルギー高騰や、海外からの食料・原材料費の高騰も、政権としては、しばらくすれば「ある程度落ち着く」という見通しを持っていたのではないでしょうか。それがまったく落ち着かない。原因はウクライナ侵攻そのものではなく、アメリカの利上げだったと思います。あれだけ利上げするとは予想していなかったのかも知れません。

飯田)もっと前に落ち着くと思っていた。昨年は、「今年(2023年)の年央には利下げに転じる」などと言われていましたものね。

佐々木)未だに利下げせず、5%ぐらいになっています。

飯田)しかし、アメリカ経済もさすがに減速してきた。14日に発表された消費者物価指数では、市場予測よりも低い数字が出ています。

佐々木)落ち着いてきましたね。逆に失速しすぎると、それはそれでハレーションが起こるので心配です。

ここまで物価高が進行するとはマーケットも予測していなかった

飯田)少し前まで「1ドル=152円を目指す」とされ、「いよいよ日銀の為替介入か」と言われていましたが、いまは介入なしで1ドル=150円台前半にきています。

佐々木)長期金利も「1%を超えても介入しない」という話になってきて、日銀がどうするのか、みんなよくわからない。マーケットも様子を見ている感じがします。

飯田)みんな竦んでいる感じがありますか?

佐々木)ここまで物価高が進行するとは、マーケットも予測していなかった部分があると思います。岸田さんは「早く賃上げが物価高に追い付いて欲しい」と考えているのではないでしょうか。

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