映画『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子の自伝的小説が初めて映画になった!

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1149回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、絶賛公開中の映画『窓ぎわのトットちゃん』と『隣人X -疑惑の彼女-』をご紹介します。

映画『窓ぎわのトットちゃん』

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映画館で観たい!映画『窓ぎわのトットちゃん』 ~世界中が涙した真実の物語

1981年に発売され、世界累計発行部数は2500万部を突破。20以上の言語で翻訳されている、黒柳徹子の自伝的小説「窓ぎわのトットちゃん」。

約80年前、第二次世界大戦が終わる少し前の激動の時代を背景に、少女時代の黒柳さんの視点を通して「生と死」「戦争と平和」「思いやりと差別」といった相反するテーマが雄弁に語られた本書は、いまもなお、世界中の人々に愛され続けています。私も子ども時代、何度も何度も繰り返し読んだことを覚えています。

そんな世界的ベストセラーが、何と初の映画化。2023年の冬映画を代表するアニメーション作品として、スクリーンに登場しました。

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』のあらすじ

トットちゃんは、小学1年生。落ち着きがないことを理由に、小学校を退学になってしまった。

転校先は、子どもの自主性を重んじるという教育方針を掲げた、東京・自由が丘にあるトモエ学園。地面から生えた木が校門で、教室は電車。一風変わった学校は、トットちゃんの目にはキラキラと輝いて見えた。

周囲の人々から「困った子」だと言われることを、ちょっぴり気にしていたトットちゃん。しかし、話すことがなくなるまで自分の話を聞き続けてくれた小林校長先生との出会いをきっかけに、人生が変わり始める……。

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』のみどころ

トットちゃんを演じたのは、オーディションを勝ち抜いて本役に抜擢された大野りりあな。何事にも好奇心旺盛で、いつも元気いっぱい。でも実は、ちょっぴりセンチメンタルな一面も持つキャラクターを、表情豊かに演じています。

さらに、小栗旬、杏、滝沢カレン、役所広司など豪華な俳優陣が集結。トットちゃんを取り巻く“素敵な大人たち”に、命を吹き込みました。

温かく美しく、そしてちょっぴり切ない世界が繰り広げられます。

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』

クラスメートの泰明ちゃんとの木登り、“海のもの”と“山のもの”を準備するお弁当、ピアノの音に合わせて体を動かすリトミック。

原作をお読みになった方には懐かしく、初めてご覧になる方には「本当にそんな出来事があったの?」と驚いてしまいそうなエピソードの数々を軸に、トットちゃんの成長が描かれている本作。それと同時に、戦争、差別、障害、子どもとの向き合い方といった普遍的なテーマが随所に散りばめられています。

偶然にも、この映画が劇場公開となったのは太平洋戦争が開戦された日。さまざまな国や地域で紛争が続いているいまこそ、世代を問わず観て欲しい一作です。

そして是非、42年ぶりの続編となる「続 窓ぎわのトットちゃん」も、手に取っていただきたい! 映画のなかより少し大人になった、お転婆でチャーミングなトットちゃんに出会えますよ。

『隣人X -疑惑の彼女-』

『隣人X -疑惑の彼女-』

コチラも映画館で観たい!『隣人X -疑惑の彼女-』 ~上野樹里、7年ぶりの映画主演作

第14回小説現代長編新人賞に輝いた、パリュスあや子の「隣人X」を映画化した『隣人X -疑惑の彼女-』。

紛争のために故郷を追われてしまい、難民として地球にやってきた「X」と呼ばれる生命体。人間の姿をそっくりコピーして社会に紛れ込んでしまう彼らの存在に、世間では動揺が広がる。そして人々は、そばにいるかも知れない「X」を見つけ出そうと躍起になっていた。

何とかスクープを掴みたいと狙っている週刊誌記者の笹憲太郎は、X疑惑のかかった柏木良子を追跡するが……。

未知なる「X」に不安を抱けば抱くほど、自分たちとは異なる存在や文化に対して、登場人物たちが無意識に差別や偏見を抱くようになる様子が浮き彫りに。そんな人々の姿に、現代日本の縮図を見ているような感覚を覚えるのは、きっと私だけではないはず。

奇怪なSFサスペンスかと思いきや、社会派の一端を担う秀逸な一作です。

映画『窓ぎわのトットちゃん』

映画『窓ぎわのトットちゃん』

■映画『窓ぎわのトットちゃん』

2023年12月8日(金)から全国東宝系にてロードショー

声の出演:大野りりあな、小栗旬、杏、滝沢カレン、役所広司
主題歌:あいみょん「あのね」(unBORDE/Warner Music Japan)

原作:「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著/講談社 刊)
監督・脚本:八鍬新之介
共同脚本:鈴木洋介
キャラクターデザイン:金子志津枝
アニメーション制作:シンエイ動画
(C)黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
配給:東宝
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
公式サイト https://tottochan-movie.jp/

「続 窓ぎわのトットちゃん」

「続 窓ぎわのトットちゃん」

■「続 窓ぎわのトットちゃん」

国民的ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」42年ぶりの続編!
講談社より絶賛発売中

著:黒柳徹子
定価:1650円(本体1500円)
関連サイト https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000370343

『隣人X -疑惑の彼女-』

『隣人X -疑惑の彼女-』

■隣人X -疑惑の彼女-

2023年12月1日(金)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー

出演:上野樹里、林遣都、黃姵嘉、野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子、バカリズム、酒向芳

監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫)
音楽:成田旬
主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON/RECA Records)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント
制作協力:アミューズメントメディア総合学院
(C)2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 (C)パリュスあや子/講談社
公式サイト https://happinet-phantom.com/rinjinX/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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