「トランプ氏の再選優勢」と言わざるを得ない次期米大統領選の現状

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが12月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次期米大統領選について解説した。

2023年9月27日、米ミシガン州デトロイト近郊で演説するトランプ前大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

2023年9月27日、米ミシガン州デトロイト近郊で演説するトランプ前大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

米バイデン大統領の支持率、過去最低の34% ~トランプ氏にリード許す

米ニュージャージー州のモンマス大学が12月18日(現地時間)に発表した世論調査の結果で、バイデン大統領の支持率が過去最低の34%に低下したことが判明した。バイデン大統領の支持率は、9月の38%から12月は34%に低下しており、2024年の大統領選挙に向け、ドナルド・トランプ前大統領にリードを許す形となった。

飯田)バイデンvsトランプ、4年前の再来ですね。

クラフト)モンマス大学を知らない方も多いと思いますが、世論調査に定評があり「正確だ」と言われているので、この数字には注目するべきです。「トランプ氏がいい」というよりは、バイデン大統領の支持率が落ちてしまっている。2020年にバイデン大統領が当選した大きな2つの要因は、若年層とマイノリティです。特にラテン票が多かった。しかし、いま若年層がイスラエル問題・中東問題で不満を抱き、引いてしまっています。ラテン系の人たちは移民問題で政権に対して不満がある。この2つの基盤が底抜けしてしまっているので、(バイデン大統領は)危機的な状況にあります。

飯田)バイデン大統領は、あまり票をあてにするところがないのですか?

民主党から第3の政党に移った候補者もバイデン票に影響

クラフト)そうなのです。日本製鉄のUSスチール買収に米労組が反対していますが、これも大統領選の政争の具になっていると思います。USスチールの本社があるペンシルベニアは重要な激戦州ですから、ここも落としかねない状況です。ある意味、日本が間接的にトランプ氏を応援する形になってしまった。

飯田)なるほど。

クラフト)また、いろいろな問題に加え、民主党から出て第3政党に移った候補者が、いまのところ2人います。もしかしたら3人になるかも知れません。ここがさらにバイデン大統領の票を食ってしまう可能性がある。(大統領選の)1年前は、基本的に現職大統領が弱い時期でもあって、まだ1年ほど時間はあるものの、バイデン大統領は危機的な状況です。いまの状況を見ると、トランプ氏の再選は残念ながら優勢と言わざるを得ません。

ロバート・ケネディ・ジュニア氏の存在はトランプ氏に不利なのか

飯田)以前、第3の候補的なところでロバート・ケネディ・ジュニア氏の名前を挙げておられましたが、ケネディと名前がついている通り、あの血筋ですよね?

クラフト)専門家のなかでは「ロバート・ケネディ・ジュニア氏は民主党議員でありながら、かなり極右派の思想を持っているので、逆にトランプ氏の有権者を引っ張っていく」と言われています。そのため「トランプ氏に不利でバイデン大統領に有利」と言う人がいますが、そうではないと思います。

飯田)そうではない。

クラフト)もともとトランプ氏が好きな人は、民主党に乗り換える、それも独立候補に乗り換えることはまずありません。トランプ氏の支持者はトランプ氏維持で、バイデン大統領が嫌いな人が移るか、あるいは投票に出ない。あるいはケネディ候補に投票すると予想されるので、あまりトランプ氏にとって不利ではないと思います。

コロラド州最高裁が「トランプ氏に大統領選に挑む資格ない」と判決

クラフト)また20日には、コロラド州の最高裁がトランプ氏の予備選への出馬資格を剥奪しました。

飯田)出馬を認めない。

クラフト)これから連邦最高裁で争われますが、個人的にはコロラド州の判決は不当だと思っています。トランプ氏が出馬しないことを願ってはいるものの、判決として少しおかしいと思います。しかし、もし連邦最高裁もこれを容認して、他の州に広まって出馬できないとなると、一気にトランプ氏からニッキー・ヘイリー氏や、デサンティス氏などが出てくる可能性もあります。そもそもコロラド州の判決自体が1872年の法律に基づいているのです。しかも2021年の議事堂襲撃事件を引き起こしたと断定している。その裁判はまだ始まってもいないし、トランプ氏の有罪が決まっていないにもかかわらず、コロラド州は……。

飯田)先走ってしまっている。

クラフト)勝手に有罪だと主張しているのです。だから出馬資格がないというのは、おかしいと言わざるを得ません。最高裁は6対3で保守なので、トランプ氏に有利だと思います。いずれにしろ、コロラド州の予備選は3月5日の「スーパーチューズデー」ですので、その前に判決を決めないと大統領選にも影響が出てしまいます。

飯田)修正第14条3項に基づいて「反乱などに関わった者は公職に就くことを禁じる」という規定を引用した。

クラフト)「大統領」とは明記されていないので、果たして大統領がこれにあたるのか、そうではないのか。いろいろな議論がありますが、いずれにしろ法律的には面白い判決で、これから二転三転していくのではないかと思います。

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